(ただし、コルヒチンを投与中の患者は禁忌、また透析未導入のCCr<10の末期 ..


尿を用いる抗体測定検査では、凍結保存後に偽陰性が、タンパク尿がある場合には偽陽性となる場合があります。特にタンパク尿の頻度の高い若年者では注意が必要です。EIA法により尿中抗体測定を行った場合は結果が数値で表されますが、血清抗体のEIA法による測定とは異なり、半定量的試験です。保険診療上も半定量的試験とされており、保険点数も血清抗体と異なっています。したがって尿中抗体測定は感染診断には有用ですが、EIA法による測定であっても、血清抗体のように治療前後の数値の比較による除菌判定には使用できません。


透析患者にジゴキシンとクラリスロマイシンを 併用すべ きではない

市販の抗H. pylori抗体を用いた免疫染色ではH. pylori以外のHelicobacterも陽性となることが報告されています1-3)H. pylori以外のHelicobacter属菌は、近年Non-H. pylori Helicobacters (NHPH)と呼ばれており、ヒト胃粘膜にもNHPHの感染がみられます4)。ヒト胃粘膜に感染がみられるNHPH は従来Helicobacter heilmannii-like organism (HHLO)と呼ばれてきたもので、H. suis, H. heilmannii, H. bizzozeronii,H. felis等が知られています4, 5)。HHLOの多くはH. suisです6)。HHLOが典型的な螺旋形態を示す場合はその形態がH. pyloriと異なっているためH. pyloriとの鑑別が可能です4)。螺旋形態を示したHHLOはH. pyloriよりも大型で螺旋が強く、胃粘膜上皮に接着することなく、胃粘膜上皮表面の粘液ゲル内や胃小窩内に観察されます。しかしながら、HHLOはしばしば壁細胞の細胞内分泌細管内に侵入することがあります。細胞内分泌細管内のHHLOや球状体構造を呈したHHLOは形態的にはH. pyloriとの鑑別が困難となります3)H. felisを除き、ヒト胃粘膜からのHHLOの培養法は確立していないため、菌種の同定には胃生検組織を用いた、HHLOのウレアーゼ遺伝子解析が必要となります7)

便中抗原測定法はキットによって使用されている抗体が認識する抗原が異なるため、PPIの影響もキットによって違います。国内で使用されているキットは2種類に大別できます。カタラーゼ抗原を認識する国産のキットはわかもと製薬が開発したもので、EIA 法のテストメイトピロリ抗原EIA(協和メディックス)と迅速型のイムノクロマト法のテストメイトラピッドピロリ抗原(日本ベクトン・ディッキンソン)があります。一方、Meridian Bioscience社が開発したものは複数の抗原に対するモノクローナル抗体が使用されているとされ、EIA法のHpSA ELISAⅡとイムノクロマト法のイムノカードST HpSA(いずれも富士レビオ)があります。国産のキットについてはPPIの影響が少なく1)、PPI内服中でも除菌判定が可能であったという報告もあります2)。しかし、海外産のキットではPPIの影響についての検討は不十分であり、欧州のキットがPPIの影響が受けると報告されていることから、今のところ保険診療ではPPI内服中の便中抗原測定はみとめられていません。

れた血液透析患者 17 例(男性 11 例,女性 6 例)を対 ..

1) 乾正幸, 大和田進, 乾純和ほか. ラテックス免疫比濁法を用いた血清Helicobacter pylori抗体検出キットの判定保留域(陰性高値・陰性低値)の解析. 日本消化器病学会誌 2017:114:1968-1977. 【横断研究】
2) 権頭健太、高橋悠、山道信毅ほか. H. pylori診断におけるH.ピロリ-ラッテクス「生研」及びH.ピロリIgG「」の有用性の検討. 日本消化器がん検診学会雑誌 2017:55:547-553. 【横断研究】
3) 乾正幸, 大和田進, 乾純和ほか. ラテックス免疫比濁法を用いた血清Helicobacter pylori抗体検出キットの実地臨床における有用性の検討-EIA法およびCLEIA法キットとの比較解析-. 日本ヘリコバクター学会誌2017:19:33-42. 【横断研究】

プロトンポンプ阻害薬(PPI)やクラリスロマイシン(CAM)、メトロニダゾール(MNZ)はワルファリンの代謝酵素を介する薬物間相互作用によって、ワルファリンの代謝をおくらせ、結果としてワルファリンの効果が強まります1)。なお、Vonoprazanとワルファリンの相互作用に関してはデータが不十分です。また、アモキシリン(AMPC)、CAM、MNZは腸内細菌に影響し、それらはビタミンKの産生低下につながり、結果としてワルファリンの効果が増強されます。従って、H. pyloriの除菌薬はワルファリンの抗凝固作用を増強させることとなり、注意が必要です1)。添付文書上では、除菌薬の何れも併用禁忌ではなく併用注意薬であるため2)、慎重投与は可能ですが、基本的には除菌療法の適応とリスクベネフィットバランスを考慮して除菌を行うかを決定すべきと考えます。除菌を行う場合には、十分に患者に説明したうえでICを取得後、INR等でモニターしつつ、慎重に行わざるをえないと考えます。

薬剤師へ問題「透析患者への投与の際、減量不要の薬剤はどれか?」

栄研のEプレートについで使用される機会が多いのは、同社が同じ抗原から作成したLZテストです1)。LZテストは測定が簡便であるラテックス法を用いて抗体価を測定します。そのほかにもデンカ生研、富士フィルム和光純薬からも血清抗体測定キットが発売されています2, 3)。これまでの報告では、どの方法も実臨床における感染診断の精度は十分と考えられます。しかし、血清抗体測定法はキットによって使用される抗原が違うので、診断精度は測定対象の感染率、胃粘膜萎縮の程度に影響されます。したがってEプレート以外の測定キットを胃がんリスク評価・H. pylori検診に使用する場合には、内視鏡など画像所見も参考にし、慎重に判断することが必要です。

現在国内で最もよく使用されるEIA法による測定キット「Eプレート栄研H.ピロリ抗体II」(Eプレート)の場合、感染診断のカットオフは10 U/mL以上とされています。しかし、陰性と判断されても抗体価が3 U/mL以上10 U/mL未満のカットオフに近い場合は「陰性高値」とされ、この場合20%弱の感染者が存在することが知られています。そのため、ガイドライン2016年版では、陰性高値者では他の検査で感染の有無を確認すべきであるとされています。このほど日本ヘリコバクター学会から新たに公表された「ピロリ菌血清抗体を加味した効果的な胃がん検診法と除菌を組み合わせた包括的胃がん予防のための推奨指針」1)においても、陰性高値者にはピロリ菌感染例と除菌後例が混在するので、適切なH. pylori感染診断を追加し、陽性の場合は除菌することが推奨されています。

高齢者では透析患者及び腎不全患者以外でも20例報告されているが,これは,加齢に伴い腎 ..

・年齢、重症化リスク因子の数、免疫不全の有無、臨床試験で示された治療効 果、発症からの日数、静脈注射が可能な医療環境かどうか、服用中の薬剤との薬物相互作用、流行している変異体(variant)、薬剤の需要と供給のバランス(流通制限の有無)を検討したうえで、治療薬を選択する。
・第1選択薬はニルマトレルビル/リトナビル、第2選択薬はレムデシビルである。どちらも使用できない場合にのみ、モルヌピラビルの使用を検討する。
・2022年4月現在、日本で使用可能な抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体(カシリビマブ/イムデビマブ、ソトロビマブ)は、原則として使用しない。

CAMはCYP3A4の阻害薬であり、同じ酵素やトランスポーターで代謝・輸送される薬物の動態に影響します1)。同酵素で代謝される薬物との相互作用に十分注意が必要です2)。エルゴタミンはCAMと併用禁忌です。エルゴタミンとの併用ではその血管収縮作用を増強させます2)。併用禁忌薬には、この他に、ピモジド、チカグレロル等、7剤あります。併用注意薬には、カルバマゼピン、テオフィリン、アトルバスタチンカルシウム水和物、シンバスタチン、ベンゾジアゼピン系薬、カルシウム拮抗薬(ニフェジピン、ベラパミル等)、ワルファリンカリウム等があります。スタチンは、併用で血中濃度が上昇し、横紋筋融解症が生じることがあります。ワルファリンではINRの上昇、カルシウム拮抗薬では徐脈や低血圧のリスクがあります2)。ジゴキシンは、腸内細菌に影響し、不活化が抑制されたり、輸送阻害が生じ、血中濃度が上昇します3)。スルホニル尿素系血糖降下薬は、機序は明確ではないですが、CAMとの併用により血中濃度が上昇する可能性があります3)。これらを含め、併用注意薬は30剤以上あります。除菌対象患者さんが他の医薬品を服用中の場合では、添付文書で確認したり、薬剤師に相談することが必要です。


フラジール内服錠の透析患者さんへの投与について教えてください。 開く

透析患者におけるジゴキシン血中濃度の個人差とMDR1遺伝子多型との関連性の検討

慢性腎臓病患者でのボノプラザン・クラリスロマイシン・メトロニダゾールによるピロリ菌除菌治療 ..

デルタ流行期は多くの患者に投与されたが、オミクロンに対する中和活性が著明に低下しているため、オミクロン流行後は使用されなくなった。

血液透析を受けている患者の場合は,感染症の重症度に応じて 1 回 500mg または ..

まずは抗生物質などの抗菌薬が影響を及ぼすことは明確です。各種PPIはH. pyloriに対して抗菌活性を有しており、ウレアーゼ活性に影響を及ぼします。また、一部の防御因子増強薬(エカベトナトリウムなど)は抗ウレアーゼ活性を示します。新しい酸分泌抑制薬P-CAB(ボノプラザン)には抗菌薬活性はないとされていますが、ウレアーゼ活性を阻害し尿素呼気試験に影響するとされています1)。除菌判定には従来のPPIと同様に注意が必要です。

イグザレルト錠の血中濃度上昇の可能性 クラリスロマイシン処方削除

ブレイクスルー感染(COVID-19ワクチン接種者に発症したCOVID-19)での抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体の効果を検討した無作為化比較試験は筆者の知る限り存在しないが、入院予防効果を検討した観察研究は報告されている。アルファ~デルタ流行期に検討されたものであるが、モノクローナル抗体(おもにカシリビマブ/イムデビマブが使用された)投与群は、非投与群より77%入院が少なく、呼吸不全は86%少なかった[37]。この研究から、ワクチン接種済みのCOVID-19患者の場合でも、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体の効果は期待できると考えられる。

高度腎機能障害や透析患者に対する除菌治療はどうすると良いですか? 11 ..

鳥肌胃炎はH. pylori感染による過剰な免疫応答であり、特に若年者に好発する胃炎の一形態です。内視鏡では前庭部から胃角部の小結節隆起として捉えられ、色素撒布にて明瞭となります。隆起の中心には白色陥凹を認め、羽をむしり取った鳥の肌のように見えます。病理学的にはリンパ濾胞の著明な増生が認められます1)。鳥肌胃炎は若年者胃癌や未分化型胃癌や印環細胞癌の発生母地と報告されており2)-4)、除菌が推奨されます。除菌成功により小隆起は経時的に平坦化・消失することが多いです5)が、除菌後の胃癌発生の頻度やリスクファクターについては報告されていません。現時点では正確なfollowの間隔などは明らかではなく、除菌時の年齢、萎縮の程度、胃癌家族歴などを総合的に考慮して症例毎に検討することが望ましい対応と思われます。

慢性透析患者を対象にオメプラゾールを1日1回20mg経口 ..

また、アルファ流行前に行われた家庭内曝露後96時間以内の18歳以上の濃厚接触者(SARS-CoV-2 PCR検査陰性)に対するカシリビマブ/イムデビマブ皮下注(600mg/600mg)のCOVID-19発症予防効果を検討したプラセボ対照無作為化比較試験では、81.4%の発症予防効果(予防投与群 1.5% vs プラセボ群7.8%)と、66.4%の無症候性感染も含む感染予防効果(予防投与群4.8% vs プラセボ群 14.2%)が示された[35]。さらに、index caseの陽性検体が採取されてから96時間以内の無症状病原体保有者(SARS-CoV-2 PCR検査陽性の症状のない感染者)に対するカシリビマブ/イムデビマブ皮下注(600mg/600mg)による症候性感染予防効果を検討したプラセボ対照無作為化比較試験では、46%の予防効果が示された(予防投与群 29.0% vs プラセボ群42.3%)[36]。

[PDF] 効能・効果、用法・用量及び使用上の注意改訂のお知らせ

MNZの添付文書に、【禁忌(次の患者には投与しないこと)】2.脳,脊髄に器質的疾患のある患者(脳膿瘍の患者を除く)[中枢神経系症状があらわれることがある。]と記載されています1)

また、マクロライド系抗菌薬のクラリスロマイシンを投与した患者では、投与開始後約5日で神経毒性を発症したとされています。 ..

アルファ流行前に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で、発症7日以内にカシリビマブ/イムデビマブ(600mg/600mg 単回静注)を投与することによって、18歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の28日以内の入院または死亡が、70%減少(治療群 1.0% vs プラセボ群 3.2%)することが示された[34]。サブグループ解析では、既感染者(N蛋白とS蛋白に対するIgGが陽性)でも入院または死亡予防効果を認めた。また、治療開始7日目のウイルス量は有意にカシリビマブ/イムデビマブ投与群で低く、投与することによって感染伝播が抑制される可能性が示唆された。infusion reactionは0.3%未満であり、安全性は高い。

有害事象の臨床試験結果の項に腹膜透析患者における試験結果が、 市販後 ..

オミクロンBA.1系統に対する中和活性が維持されていたため、第6波で多くの患者に使用された。 また、他の薬剤と比較して禁忌が少なく、妊婦や腎不全患者(透析患者も含む)に対して安全に使用可能であり、利便性が高い薬剤であった。しかし、2022年3月中旬以降に増加傾向となったオミクロンBA.2系統に対する中和活性の低下が示されたことから、2022年4月現在はその使用は推奨されなくなった。BA.1とBA.2を識別可能な変異PCR検出系を導入している病院では、BA.1であることが判明している患者に限り、ソトロビマブの投与が検討できる。

(2)クラリスロマイシン投与中の患者、リトナビル + サキナビルもしくはロピナビル+リトナビル.

従来株~アルファ流行期に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で、発症5日以内にソトロビマブ(500mg 単回静注)を投与することによって、18歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の29日以内の入院または死亡が、約80%減少(治療群 1% vs プラセボ群 6~7%)することが示された[31, 32]。また、治療開始7日目のウイルス量は有意にソトロビマブ投与群で低く、投与することによって感染伝播が抑制される可能性が示唆された。

長期血液透析患者の腎に発生した粘液管状紡錘細胞癌の1例 …749

腎機能と肝機能に基づく投与量調整は不要であり、その点では使用しやすい薬剤である。一方で、カプセルが大きく特に高齢者では内服しにくい可能性がある。また、他の薬剤と同様に流通制限があるため、自施設の在庫を確認しながら、診療を行う必要がある。

透析を施行しているヘリコバクターピロリ感染者に対するボノプラザン・減量アモキシシリン・クラリスロマイシン ..

肺MAC症では、マクロライド系薬(CAM、AZM)、EB、RFPによる3剤治療が、現時点での標準治療であるが、菌の陰性化は十分ではない。キードラッグであるマクロライド系薬の血中濃度が、RFPとの相互作用によって低下してしまう現象が関連している可能性がある。筆者らは、CAMの効果を最大限に発揮させるため、RFPを除いたCAMとEBによる2剤治療の効果の検討を行った。3剤治療に比べて、効果は劣らず、副作用も少なく、CAM耐性菌の出現も認められなかったため、新たな治療戦略としてさらに検討していく必要がある。

の重大な症状を引き起こす可能性があります。 ○ 厳重な減塩療法中の患者や血液透析中の患者 ..

モルヌピラビルは、18歳未満の小児・青年期に対して臨床試験は行われておらず、現時点で投与適応はない。また、突然変異誘発・催奇形性が懸念されるため、妊婦への投与は禁忌である。妊娠可能年齢の女性は、使用中と使用終了後4日間は避妊が必要である。また、授乳中の女性も、使用中と使用終了後4日間は授乳を中断することが推奨されている。