公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY


RSウイルス感染症の感染経路は接触感染と飛沫感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。
一方、再感染では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれていない年長児や成人が存在しており、症状がある場合、可能な限り乳幼児との接触を避けることが乳幼児の発症予防に繋がります。
接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒し、流水・石鹸による手洗い、またはアルコール製剤による手指衛生が重要です。
飛沫感染対策としては、鼻汁、咳などの呼吸器症状がある場合はマスクが着用できる年齢の子どもや大人はマスクを使用することが大切です。


感染によって重症化するリスクの高い基礎疾患を有する小児(特に早産児や生後24か月以下で心臓や肺に基礎疾患がある小児 ..

機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てずに様子をみたり、かかりつけ医にご相談ください。ただし、呼吸が苦しそう、食事や水分摂取ができない時は医療機関への受診をご検討ください。
受診を迷った場合や夜間・休日の場合は、「こどもの救急()」などの関係Webサイトを参照したり、#8000(こども医療相談)にご相談ください。

百日咳(pertussis, whooping cough)は、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症である。母親からの免疫(経胎盤移行抗体)が十分でなく、乳児期早期から罹患する可能性があり、1歳以下の乳児、特に生後6 カ月以下では死に至る危険性も高い。百日せきワクチンを含むDPT三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)あるいはDPT-IPV四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)接種はわが国を含めて世界各国で実施されており、その普及とともに各国で百日咳の発生数は激減している。しかし、ワクチン接種を行っていない人や接種後年数が経過し、免疫が減衰した人での発病はわが国でも見られており、世界各国でいまだ多くの流行が発生している。

今号の特集テーマは「小児心臓外科医の育成」です。 2023年10月13日New

RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は基本的には対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療)を行います。

は、百日咳菌(Bordetella pertussis)の気道感染により発症する疾患であり、約7~10日間の潜伏期間を経てカタル症状が出現する。その後の持続的な咳嗽に加え、連続性の咳嗽発作や咳嗽後の嘔吐、吸気性の笛声(whoop)といった特徴的な症状を呈する。特に乳児期早期ではこれらの特徴的な咳嗽がみられないことがあり、無呼吸発作やチアノーゼ、けいれんを呈し、呼吸停止に至る場合がある。また、肺炎や脳症等の重篤な合併症が報告されており、呼吸管理を要する入院例や死亡例も報告されてきた1)

※日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会 小児呼吸器感染症診療ガイドライン作成 ..

溶連菌とは、正式には溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌で、α溶血とβ溶血を呈する2種類があり、後者でヒトに病原性を有するものは、A群、B群、C群、G群などです。溶連菌感染症の90%以上がA群によるものです。したがって、一般にはA群溶血性連鎖球菌(A群β溶血性連鎖球菌)による感染症を溶連菌感染症として理解されているといってもよいでしょう。主に“のど”に感染して、咽頭炎扁桃炎、それに小さく紅い発疹を伴う場合があります。

百日咳は世界的に見られる疾患で、いずれの年齢でもかかるが、小児が中心となる。また、重症化しやすく、死亡者の大半を占めるのは1 歳未満の乳児、特に生後6カ月未満の乳児である。WHOの発表によれば、世界の百日咳患者数は年間約1,600万人で、その約95%は発展途上国の小児であり、小児の死亡数は19.5万人にのぼるとされている。
わが国における百日咳患者の届け出数(伝染病予防法では届出伝染病として全例報告されることになっていた)は、ワクチン開始前には10万例以上あり、その約10%が死亡していた。百日せき(P)ワクチンは1950年から予防接種法によるワクチンに定められ、単味ワクチンによって接種が開始された。1958年の法改正からはジフテリア(D)と混合のDP二種混合ワクチンが使われ、さらに1968(昭和43)年からは、破傷風(T)を含めたDPT 三種混合ワクチンが定期接種として広く使われるようになった。これらのワクチンの普及とともに患者の報告数は減少し、1971年には206例、1972年には269例と、この時期に、日本は世界で最も百日咳罹患率の低い国のひとつとなった。しかし、1970年代から、DPTワクチン、特に百日せきワクチン(全菌体ワクチン)によるとされる脳症などの重篤な副反応発生が問題となり、1975年2月に百日せきワクチンを含む予防接種は一時中止となった。同年4月に、接種開始年齢を引き上げるなどして再開されたが、接種率の低下は著しく、あるいはDPTではなくDTの接種を行う地区も多く見られた。その結果、1979年には年間の届け出数が約13,000例、死亡者数は約20例に増加した。
その後、わが国において百日せきワクチンの改良研究が急いで進められ、それまでの全菌体ワクチン(whole cell vaccine)に代わり無細胞ワクチン(acellular vaccine)が開発された。1981年秋からこの無細胞(精製、とも表現する)百日せきワクチン(aP)を含むDPT三種混合ワクチンが導入され、その結果、再びDPTの接種率は向上した。また、1981年7月から「百日せき様疾患」として、定点医療機関(以下、定点)からの報告による感染症発生動向調査が開始され、伝染病予防法に基づく届出数の約20 倍の患者数が報告されるようになった。1982年には全定点からの報告数が23,675(定点当たり12.59)で、その後は約4年毎に増加するパターンを示しながら減少した。さらに1995年4月からはDPTワクチンの接種開始年齢がそれまでの2歳から3カ月に引き下げられた。

・通常使用される用量は以下の通りです。12歳未満の小児については、予防投与は認められていません。 ..

60歳以上を対象としたワクチン及び生まれてくる子の予防を目的に妊婦に接種するワクチンがあります。
また、以下の対象者については、遺伝子組換え技術を用いて作成されたモノクローナル抗体製剤であるパリビズマブ(Palivizumab)の投与があります。RSウイルス感染症の流行初期に投与し始めて、流行期も引き続き1か月毎に筋肉注射することにより、重篤な下気道炎症状の発症の抑制が期待できます。

・在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児
・在胎期間29~35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児
・過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
・24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
・24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児,乳児および幼児*
・24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児,乳児および幼児*

*本剤の添付文書では、投与に際しては学会等から提唱されているガイドライン等を参考とし、個々の症例ごとに本剤の適用を考慮すること、とされています。
なお、パリビズマブ製剤の投与は保険適用となっています。

感染によって重症化するリスクの高い基礎疾患を有する小児(特に早産児や生後24か月以下で心臓や肺に基礎疾患がある小児、神経・筋疾患やあるいは免疫不全の基礎疾患を有する小児等)や、生後6か月以内の乳児への感染には特に注意が必要です。また、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患を有する高齢者も感染に特に注意が必要です。


・床はこまめに掃除機をかけます。 望ましい室内環境の整備の例 『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023』より

1999年4月施行の感染症法では「百日咳」として定点把握疾患に分類され、全国約3,000の小児科定点から報告されており、2001~2006年は0.44~0.73であったが、2007年には0.97に増加し、2008~2012年は1.30~2.24であった。2013年には0.53と減少したが, 翌2014年から増加傾向を示している(0.66~0.95)。近年の患者増加の特徴として小学校高学年以上の患者が多くなっており、2016年は小児科定点からの報告ではあるものの、15歳以上の患者が全体の25%を占めた。そこで、より正確な百日咳の疫学の把握を目的として、2018年(平成30年)1月1日から、それまでの小児科定点把握疾患から成人を含む検査診断例の全数把握疾患としての改正が施行された。

小児患者の年齢群別・性別分布、流行状況が、臨床症状の届出基準(2週間 ..

クラリス(一般名:クラリスロマイシン)とはマクロライド系の抗生物質です。従来のマクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンを改良してできたものであり、ニューマクロライドともいわれています。抗生物質の代表といえるのはβラクタム薬(ペニシリン系、セフェム系等)ですが、マクロライド系も肺炎球菌をはじめとするグラム陽性菌、インフルエンザ菌や百日咳菌など一部のグラム陰性菌、嫌気性菌、非定型菌のマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなど多くの細菌に対して効力を発揮します。いろいろな細菌に有効なので、呼吸器系の領域を中心に多くの診療科で処方されています。多くは咽頭炎・肺炎・中耳炎などに対する処方です。消化器領域ではピロリ菌の除菌薬としても数多く処方されています。皮膚科領域においては、感染を伴う、表在性/深在性皮膚感染症、リンパ管/節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍などの疾患に対して選択されることがあります。

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です。ぜん息の症状はが原因で起こります。その炎症を抑え、発作を予防するのが「吸入ステロイド薬」です。「吸入ステロイド薬」が普及してから、ぜん息で亡くなる人や入院する人の数が大幅に減少しました。
もうひとつの薬剤は、です。「気管支拡張薬」には、長時間作用性β刺激薬、テオフィリン徐放製剤、長時間作用性抗コリン薬などがあります。ロイコトリエン受容体拮抗薬やテオフィリン製剤は、気管支拡張作用と抗炎症作用をあわせもっています。症状に応じて、これらの中からひとつ、あるいはいくつかの薬剤を用います。
吸入ステロイド薬と長時間作用性β刺激薬を配合した薬剤は、1剤で炎症を抑え、気管支を拡張するため、広く用いられています。

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クラリスに最も特徴的なのは、一般的な抗生物質が効かないマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなどの非定型細菌にも有効であることです。マイコプラズマは肺炎を引き起こすことで有名ですが、皮膚に感染して皮膚に治りにくい傷を作る原因になることもあります。またクラミジアは性感染症の原因となり、外陰部に痛みや痒みを引き起こします。マイコバクテリウムは皮膚の下で膿を作り、ジクジクとした傷を引き起こす原因菌です。これらはどれも稀な病気で抗生物質が効きにくいのが特徴ですが、クラリスは比較的よく効きます。またクラリスが改良される前の薬であるエリスロマイシンには胃酸によって効力が落ちるという弱点がありましたが、クラリスは胃酸の影響をほとんど受けません。体内にしっかりと吸収されるため、1日2回の服用で十分な治療効果が得られます。その他の特徴として、クラリスはアレルギーを起こしにくいとされています。βラクタム系の抗生物質に対してアレルギーがある人でも使用可能です。ただし他の薬と相互作用を起こしやすいので、飲み合わせには注意が必要です。

用量( 1 日400mg)を上限とすること。 ⑶免疫不全など合併症を有さない軽症ないし中等症のレ

症状の代表的なものは、発熱(38〜39℃)と“のど”の痛みです。しかし、3歳未満ではあまり熱があがらないと言われています。そして、体や手足に小さくて紅い発疹が出たり、舌にイチゴのようなツブツブができたりします(イチゴ舌)。そのほかに頭痛、首すじのリンパ節の腫れ、腹痛や嘔吐などの腹部症状もみられます。急性期を過ぎますと、発疹のあとには落屑(皮むけ)が認められるようになります。風邪と違って咳や鼻水が出ないというのもこの病気の特徴です。この病気には潜伏期間があり、実際に感染してからだいたい2〜5日で症状がでます。

[PDF] 小児肺炎マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方

まず、年齢、熱の程度、“のど”の発赤の具合、体や手足の発疹の程度から溶連菌に感染している疑いがあれば、確認のために検査を行います。最近は、“のど”についた細菌の検査の中で、溶連菌については、5〜10分以内に結果が出るので、すぐに溶連菌かどうかわかります。この検査が必要なのは、後でお話するお薬の服用期間と大きく関係してきます。

性株によるマイコプラズマ肺炎の対応も含めて小児呼吸器感染症診療ガイドライン

より正確な国内の百日咳の把握の必要性が高まるなか、わが国では2018年1月1日から国内の百日咳サーベイランスはすべての医師が届出を行う5類全数把握対象疾患へと変更された。全数把握対象疾患としての届出基準は百日咳の臨床的特徴を有するもの(百日咳に特有な咳嗽、白血球数増多など)を診察した結果百日咳を疑い、かつ原則検査診断により百日咳と診断した場合である。特異度の高い検査法として、遺伝子検査の1つである百日咳菌LAMP法(loop-mediated isothermal amplification)が開発され3)、2016年から健康保険適用となった。また、同年にはノバグノスト百日咳IgA/IgMも承認され、健康保険適用となった4)。2020年には百日咳菌を含むFilmArray🄬呼吸器パネル2.1が健康保険適用となった5)。2021年からは、イムノクロマト法による病原体の抗原の検出が届出基準に追加された6)

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一般的な感染症に対してはクラリスロマイシン1日400mg、非結核性抗酸菌症には1日800mg、どちらも2回に分けて経口で投与します。投与量は年齢、症状にあわせて増減します。またピロリ菌の除菌に用いる場合は他の抗生物質や胃薬と併用して処方されます。

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通常RSウイルスに感染してから2~8日、典型的には4~6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。多くは軽症で自然軽快しますがが、重くなる場合には、その後咳がひどくなる、喘鳴が出る、呼吸困難となるなどの症状が出現し、場合によっては、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。初感染乳幼児の約7割は、鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに軽快しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難などが出現します。重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。
RSウイルスは生涯にわたって感染を繰り返し、幼児期における再感染での発症はよくみられ、その多くは軽い症状です。
成人では通常は感冒様症状のみですが、RSウイルスに感染した小児を看護する保護者や医療スタッフでは、一度に大量のウイルスに曝露して感染することによって、症状が重くなる場合があります。また、RSウイルスは特に慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者において急性の重症肺炎を起こす原因となることが知られていて、特に長期療養施設内での集団発生が問題となる場合があります。

本ガイドラインでは,これらの薬剤を含めた初期治療について詳しく述べています.特に病院

長期的に内服すると、耐性菌という抗菌薬が効きにくい菌が発現したり、赤血球・白血球・血小板が減少する可能性があります。クラリスを処方された場合は、決められた投与量をしっかり守って治療に当たりましょう。副作用のチェックのため、定期的に血液検査が必要になる場合もあります。