デキサメタゾンの多発性骨髄腫細胞に対する増殖抑制作用の機序の詳細は不明であるが、アポトーシスの誘導


ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社専務執行役員メディカル・開発部門長の玉田寛は、次のように述べています。「エロツズマブの重要なマイルストーンを日本から発表できることを喜ばしく思います。この試験を通じて、エロツズマブが、新たに多発性骨髄腫と診断された患者さんに対する新たな治療選択肢となる可能性が示されました。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、この重篤な疾患と闘う患者さんとご家族の皆さんのお役に立てるよう、今後も尽力してまいります。」


[PDF] 多発性骨髄腫の最新治療:骨髄腫腎や 分子標的薬を含めて

CA204-116試験は、造血幹細胞移植を伴う大量化学療法に不適格な新たに多発性骨髄腫と診断された患者を対象に、エロツズマブとレナリドミドおよびデキサメタゾンとの三剤併用療法と、レナリドミドとデキサメタゾンのみの二剤併用療法を比較評価した、多施設共同無作為化非盲検第Ⅱ相臨床試験です。本試験では、日本人患者82例を、エロツズマブ(10mg/kgを最初の2サイクルは1週間間隔、3~18サイクルは2週間間隔、以降は20mg/kgを4週間間隔で投与)とレナリドミドおよびデキサメタゾンの三剤併用群(ELd群)、またはレナリドミドとデキサメタゾンのみの二剤併用群(Ld群)のいずれかに1:1の割合で無作為に割り付け、病勢進行もしくは忍容できない毒性が認められるまで、28日を1サイクルとして投与しました。ベースラインでの年齢中央値は、ELd群で72歳、Ld群で73歳でした。主要評価項目は、国際骨髄腫ワーキンググループの基準に基づく、治験担当医師の評価によるELd群の奏効率(ORR)でした。副次的評価項目には、両群のORRの差および無増悪生存期間(PFS)が含まれました。探索的評価項目は安全性でした。

多発性骨髄腫は、体内に入ってきた異物など、非自己とみなした物質(抗原)から体を守る形質細胞が、がん化したことによって発症する病気です。多発性骨髄腫は、完全に治癒させることは難しい病気ですが、近年、造血幹細胞移植(正常な血液をつくる細胞を移植して、その機能を回復させる治療法)や、新しいタイプの薬が使われるようになり、治療成績はとても向上しています。
最初の治療は、患者さんの年齢や体力、合併症や臓器障害による症状などによって、造血幹細胞移植を行う場合と、2~3剤の薬を組み合わせて症状を緩和する治療を行う場合に大別されます。いずれも、異常に増えた骨髄腫細胞と骨髄腫細胞からつくられるM蛋白という異常な蛋白をできる限り減らし、症状を軽くすること、悪化させないようにすること、良い状態で長く過ごせるようにすることを目指します。

[PDF] 多発性骨髄腫患者に対する低用量デキサメタゾン併用療法時における

多発性骨髄腫細胞の表面に存在するBCMA(B-cell maturation antigen)と、がんを攻撃する免疫細胞の一つであるT細胞の表面に存在するCD3という2種類のタンパク質を認識して結合するように設計された二重特異性抗体という薬です。エルラナタマブはBCMAとCD3を橋渡ししてT細胞を活性化することで、免疫反応により骨髄腫細胞を死滅させます。

多発性骨髄腫の治療経過は、最初の治療後に奏効が何年も続く場合もあれば、骨髄腫細胞がなかなか減らず、薬を変更したり放射線療法と組み合わせたりと、いろいろな治療の工夫が必要な場合もあります(難治性)。
多くの患者さんは、最初の治療で奏効が得られた後、安定した状態が長く続きますが、その後、再発、治療、奏効を繰り返します。
新しい治療薬の登場により、奏効を維持できる期間は以前に比べ、とても長くなっており、骨髄腫は進行や症状をコントロールしながら、長くつき合う病気となっています。

【DREAMM-8】再発・難治多発性骨髄腫への 「BPd療法」 でPFS改善

新規に診断された多発性骨髄腫の標準治療は、 プロテアソーム阻害薬、 免疫調整薬、 抗CD38抗体を含む3剤/4剤併用療法であり、 初回再発時にはこれらの薬剤への抵抗性が問題となる。 そのため、 再発/難治多発性骨髄腫に対する新たな作用機序の薬を組み込んだ併用療法が必要とされている。

既報のDREAMM-7試験では、 1ライン以上の前治療歴がある再発・難治多発性骨髄腫患者において、 BCMA標的抗体薬物複合体(ADC)belantamab mafodotin+プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブ+デキサメタゾン(BVd)併用療法は抗CD38抗体ダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン (DVd) 併用療法と比較し、 無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善した²⁾。

そのため、 再発/難治多発性骨髄腫に対する新たな作用機序の薬を組み込んだ併用療法が必要とされている。 ..

DREAMM-8試験では、 レナリドミドを含む治療歴のある再発・難治多発性骨髄腫を対象に、 belantamab mafodotin+ポマリドミド+デキサメタゾン (BPd) 療法とボルテゾミブ+ポマリドミド+デキサメタゾン (PVd) 療法が比較検討された。

本試験の筆頭著者であり、国立病院機構災害医療センター血液内科医長の竹迫直樹医師は、次のように述べています。「近年の治療の進展にもかかわらず、多発性骨髄腫の完治はいまだに難しく、新たに診断を受けた患者さんの大半が再発しています。未治療の多発性骨髄腫患者さんにおいてエロツズマブの肯定的な結果が示され、うれしく思っています。このデータから、エロツズマブのファーストライン治療薬としての評価、そして投与速度を上げた場合の有効性と忍容性についての評価を、さらに進める必要性があると思います。」


[PDF] 多発性骨髄腫における血栓形成機序の解明と NF-κB ..

移植を行う予定の患者さんでは、後で行う自家移植に影響しないように、骨髄にダメージを与えない薬で骨髄腫細胞を減らす寛解導入療法が行われます。
寛解導入療法後、白血球を増やす薬などを使用して、患者さんの末梢血から造血幹細胞を採取し、凍結保存します。その後、体の中に残っている骨髄腫細胞を大量の抗がん剤により死滅させます。保存しておいた造血幹細胞を患者さんの体に点滴で戻し、しばらくすると造血幹細胞がはたらくようになり(生着)、正常な血球や免疫が回復していきます。

[PDF] 多発性骨髄腫に対する サリドマイドの適正使用ガイドライン

ELd群の40例(100%)、Ld群の41例(98%)で、AEが報告されました。ELd群とLd群の20%以上で報告されたAEは、便秘(ELd群43% vs Ld群31%)、発熱(同35% vs 同7%)、発疹(同28% vs 同36%)、下痢(同28% vs 同21%)、鼻咽頭炎(同25% vs 同26%)、味覚異常(同23% vs 同19%)、倦怠感(同23% vs 同2%)、末梢浮腫(同20% vs 同14%)、好中球減少症(同20% vs 同14%)、白血球減少症(同20% vs 同7%)、腰痛(18% vs 21%)でした。グレード3~4のAEは、ELd群の31例(78%)、Ld群の19例(45%)で報告されました。最も多く(10%以上)報告されたグレード3~4のAEは、好中球減少症(ELd群18% vs Ld群7%)、白血球減少症(同15% vs 同0%)、好中球数減少(13% vs 2%)および白内障(同13% vs 同2%)でした。患者38例(95%)が、投与速度を5mL/分に速めてエロツズマブの投与を受け(投与回数1176回中1046回に相当[89%])ましたが、インフュージョン・リアクションは報告されませんでした。ELd群は、10mg/kgを18サイクルまで1週間間隔または2週間間隔で投与した場合、または20mg/kgを19サイクル以降に月1回投与した場合のいずれにおいても、同等の安全性プロファイルを示しました。PFSについては、データの収集が進められています。

イサツキシマブ、再発難治多発性骨髄腫に対する3レジメンが追加承認

エロツズマブは、細胞表面に発現するSLAMF7というタンパクと特異的に結合する、ヒトモノクローナル抗体(IgG1クラス)です。SLAMF7は、骨髄腫細胞(抗体産生能力をもつ形質細胞ががん化した細胞)やナチュラルキラー(NK)細胞(腫瘍細胞を攻撃する免疫細胞)の表面に発現します。エロツズマブは、二つの作用機序で働きます。NK細胞を活性化させると同時に、骨髄腫細胞上のSLAMF7と結合し、NK細胞が認識するためのタグとなり、エロツズマブのFc領域とNK細胞上のFc受容体が結合することで、NK細胞による抗体依存性細胞障害(ADCC)が誘導され骨髄腫細胞が死滅します。

[PDF] 多発性骨髄腫治療における疲労・倦怠感の 改善効果

エロツズマブは、「エムプリシティ」という製品名で、2015年11月30日、米国食品医薬品局(FDA)より、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法として、1から3種類の前治療歴を有する多発性骨髄腫患者の治療薬として承認されました。2016年5月11日には、欧州委員会より、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法として、1種類以上の前治療歴を有する多発性骨髄腫成人患者の治療薬として承認されました。ブリストル・マイヤーズ スクイブとアッヴィはグローバルで、エロツズマブを共同で開発しており、商業的活動はブリストル・マイヤーズ スクイブが単独で行っています。

[PDF] 医師のための ASH2008 多発性骨髄腫 ハイライト

2021年12月11日~13日に開催された、第63回米国血液学会(ASH2021)にてIntermediate-Fitの新規多発性骨髄腫(NDMM)患者を対象にプロテアソーム阻害薬ニンラーロ(一般名:イキサゾミブ、以下ニンラーロ)+抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス(一般名:ダラツムマブ、以下ダラザレックス)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のHOVON143試験の結果がVrije Universiteit AmsterdamのKaz Groen氏らにより公表された。

多発性骨髄腫(MM)に関する患者さん向け資材を掲載しています。「Hemapedia ..

日本では、2016年9月28日、再発又は難治性の多発性骨髄腫の適応で、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法として、厚生労働省より製造販売承認を取得しました。

[PDF] ATRA投与中に急性腎不全を発症した急性前骨髄性白血病APLの2症例

多発性骨髄腫細胞の表面に存在するCD38というタンパク質を認識して結合するモノクローナル抗体です。ダラツムマブは、骨髄腫細胞のほとんどに発現しているCD38というタンパク質に選択的に結合することで,がん細胞を攻撃します。

33 再発・難治性多発性骨髄腫に対するdexamethasone, cyclophosphamide, etoposide,.

多発性骨髄腫細胞に対する増殖抑制作用の機序は不明です。アポトーシス*を起こすのではないかと考えられています。

難治性の多発性骨髄腫」に対して承認を取得した。 さらに、先述の VISTA 試験の ..

HOVON143試験は、Intermediate-Fitの新規多発性骨髄腫(NDMM)患者(N=65人)に対して導入療法として28日を1サイクルとして1、8、15日目にニンラーロ4mgと1、8、15、22日目にダラザレックス16mg/kg(3~6サイクル目は1、15日目、7~9サイクルは1日目)とデキサメタゾンの併用療法を9サイクル実施し、その後維持療法として8週を1サイクルとして1、8、15、29、36、43日目に1日1回ニンラーロ4mgと1日目にダラザレックス16mg/kgの併用療法を最大2年間もしくは病勢進行するまで実施し、主要評価項目として導入療法完了時点の客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。

多発性骨髄腫のDexamethasone耐性化におけるFARP1遺伝子の作用機序の解析

大量の抗がん剤の投与や移植の適応とならない患者さんでは、新しいタイプの薬を含め作用機序が異なる2~3剤を組み合わせた寛解導入療法が行われます。
薬の副作用や通院回数などを考慮して治療法が選択されます。

[PDF] 当院で多発性骨髄腫の治療としてカルフィルゾミブと ..

本試験が開始された背景として、Intermediate-Fitの新規多発性骨髄腫(NDMM)はFitの新規多発性骨髄腫(NDMM)に比べて予後不良であり、治療中止率が高率である。以上の背景より、新規作用機序の治療レジメンであるプロテアソーム阻害薬ニンラーロ+抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス+デキサメタゾン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病>, ベネトクラクスの再発又は難治性 ..

多発性骨髄腫は、血液がんの一種で、体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する抗体を産生する、形質細胞という血液細胞ががん化したものです。病気が進行するまで症状が現れることが少なく、早期診断が難しい病気です。多発性骨髄腫はいまだ完治を望むことが難しく、大きなアンメット・メディカル・ニーズが残されています。