(2) 一晩大量デキサメサゾン抑制試験:前日深夜に大量 (8 mg) のデキサメサゾン
高血圧の患者さんの約90%は原因が1つに特定できず、ストレス、肥満、塩分過多、遺伝的要素、その他の要因が複合的に影響して起こる高血圧で「本態性高血圧」と呼ばれます。残り約10%の患者さんは原因が特定できる高血圧で「二次性高血圧」と呼ばれます。二次性高血圧の原因の1つが原発性アルドステロン症で、全高血圧例の約5%に見られるとされています(文献1)。特に治療抵抗性高血圧や若年性高血圧の方に多く見られます。この病気は本態性高血圧に比べて脳卒中、心肥大、心房細動、冠動脈疾患、心不全、慢性腎臓病、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの発症・合併リスクが明らかに高いと報告されています(文献2、3、4)。原発性アルドステロン症は、適切に診断されないまま本態性高血圧として治療されているケースが多く、早期発見と適切な治療が重要です。
一晩少量デキサメタゾン抑制試験:前日深夜に少量(0.5mg)のデキサメタゾンを内服した翌朝(8~10時)の血中コルチゾー
原発性アルドステロン症は、副腎に発生する腫瘍(ほとんどは良性の腫瘍=腺腫)や両側副腎皮質過形成が原因でアルドステロンという血圧調節ホルモンが過剰に分泌される病気です。アルドステロンは副腎で作られ、ナトリウムと水の再吸収を促進し、血圧と水分量を適切な状態に調整するホルモンです。アルドステロンが過剰になると血圧が上がり過ぎて高血圧になります。またアルドステロンはカリウムの排出を増加させるため、低カリウム血症を引き起こすことがあります。ただしカリウム値が正常の症例も多く、低カリウム血症の有無だけでは原発性アルドステロン症と本態性高血圧を区別するのは困難です。
様々な刺激が脳の視床下部からコルチコトロピン放出因子(CRF)分泌を促し、これを受けて下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌されます。
副腎はACTHの刺激を受けてコルチゾールを放出します。
そしてコルチゾール分泌を受けて、視床下部、下垂体では、コルチゾールがこれ以上分泌されないように、CRF、ACTHの分泌を抑制します。(ネガティブフィードバック)
デキサメタゾン抑制試験を実施した際に、褐色細胞腫の合併に気づかずに、高血圧クリーゼを発現した症例が複数確認されております(Eur
クッシング症候群にはその発生機序により、脳下垂体の腫瘍、副腎皮質の腫瘍、医原性の3つのタイプに分かれます。
クッシング症候群とはコルチゾール過剰による多彩かつ特徴的な臨床兆候と定義されています。
コルチゾールとは副腎皮質で産生されるステロイドホルモンの一つです。
症状としては多飲多尿、多食、腹部膨満、 筋肉の萎縮、脱毛、皮膚の菲薄化など様々です。
正常なコルチゾール産生の経路としては以下のようになります。
1mgデキサメタゾン抑制試験(1mgDST)における負荷後血中コルチゾール濃度(1mgDST-F)
脳下垂体の腫瘍によって副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が持続的に過剰分泌され、両副腎が腫大し、コルチゾールが過剰に分泌されます。
下垂体腫瘍の多くは良性で、自然発生のクッシング症候群のうち、80〜85%を占めています。
病期Ⅲ~Ⅳの進行副腎皮質癌では,EDP(エトポシド,ドキソルビシン,シスプラチン)+ミトタン療法が,病態進行を遅延させると報告されている(FIRM-ACT研究)1)。そのほか,抗真菌薬であるケトコナゾールもメトピロン®同様に11β-水酸化酵素阻害作用を有するが,わが国では保険適用外である。副作用の中でも特に副腎不全が予想される場合,適宜または治療開始時より,生理量以上のコートリル®の補充とともに,高コルチゾール血症に伴う高血圧や糖・脂質代謝異常などの合併症の厳格な管理と感染症予防を行うことが肝要である。
クッシング症候群、デキサメタゾン抑制試験についてまとめました#病態・薬物治療#クッシング症候群#デキサメタゾン抑制試験.
副腎の腫瘍により自立性にコルチゾールが過剰分泌されます。通常病変は片側性に腫大します。下垂体へのネガティブフィードバックによりACTH分泌が低下するため、逆側の副腎は萎縮します。
自然発生のクッシング症候群の15〜20%がこの副腎皮質の腫瘍で、そのうちの半分が悪性の腺癌で、半分が良性の腺腫です。
クッシング病の主たる原因は下垂体前葉に発生する良性腫瘍、すなわち下垂体腺腫にあります。
候群を疑い、デキサメタゾン抑制試験を行います。デキサメタゾン抑制試験は
クッシング病の発症には複雑な要因が絡み合っており、その原因やきっかけを理解することが疾患の本質を把握する上で極めて重要です。
副腎腫瘍がある場合、コルチゾールの同時産生の有無を調べるため追加で検査(1mgデキサメタゾン抑制試験)を行います。 病型・局在診断
急速に血中コルチゾール濃度を低下させる場合には,11β-水酸化酵素阻害薬(11-デオキシコルチゾールからコルチゾールへの変換を阻害)であるメトピロン®(メチラポン)を使用する。約2時間で作用発現が認められ,中止により効果は消失するが,投与継続により約10~20%にエスケープ現象が生じる。投与により増加するコルチゾール前駆物質である11-デオキシコルチゾールは,標準コルチゾールアッセイと交叉しうるので,効果のモニターには注意を要する。3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素阻害薬であるデソパン®(トリロスタン)も使用可能であるが,副腎性アンドロゲンが増加し多毛症が出現する。一方,オペプリム®(ミトタン)は細胞毒性により束状層や網状層を破壊し,作用は緩徐で平均3カ月後から発現し,エスケープ現象は認められず,中止後も長期間体内に残存する。主に副腎皮質癌で術後補助療法として用い,治療域が狭く血中濃度モニターが必要であるが保険適用はない。
ゾン抑制試験は、液体クロマトグラフィー・タンデム型質量分析法を用いた
クッシング症候群は症状、身体検査、尿検査、血液検査、エコー検査、ホルモン検査(ACTH刺激試験、低用量デキサメタゾン抑制試験、高用量デキサメタゾン抑制試験、内因性ACTH血中濃度測定など)から、総合的に診断します。
(2)一晩大量デキサメサゾン抑制試験:前日深夜に大量(8mg)のデキサメサゾン
○ 概要
1.概要
下垂体から分泌されるADH、ACTH、TSH、GH、LH、FSH、PRLの単独ないし複数のホルモン分泌障害あるいは分泌亢進により、主として末梢ホルモン欠乏あるいは過剰による多彩な症状を呈する疾患である。病因は、下垂体自体の障害と、下垂体ホルモンの分泌を制御する視床下部の障害及び両者を連結する下垂体茎部の障害に分類される。実際は障害部位が複数の領域にまたがっていることも多い。
全ての前葉ホルモン分泌が障害されているものを汎下垂体機能低下症、複数のホルモンが種々の程度に障害されているものを複合型下垂体機能低下症と呼ぶ。また、単一のホルモンのみが欠損するものは、単独欠損症と呼ばれる。一方、分泌亢進は通常単独のホルモンのみとなる。
2.原因
汎ないし部分型下垂体機能低下症では、脳・下垂体領域の器質的疾患、特に腫瘍(下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍など)、炎症性疾患(肉芽腫性疾患としてサルコイドーシス、IgG4関連疾患など、自己免疫性炎症性疾患としてリンパ球性下垂体炎など)、外傷・手術によるものが最も多い。分娩時大出血に伴う下垂体梗塞(シーハン症候群)の頻度は低下している。一方、単独欠損症はGHやACTHに多く、前者では出産時の児のトラブル(骨盤位分娩など)が、後者では自己免疫機序の関与が示唆されている。さらに抗PIT-1下垂体炎(抗PIT-1抗体症候群)など自己免疫で複合型の下垂体機能低下症をきたすこともある。まれに遺伝子異常に起因する例があり、POU1F1(PIT1; TSH、GH、PRL複合欠損)、PROP1(TSH、GH、PRL、LH、FSH複合欠損)、TPIT(ACTH)、GH1、GHRHR(GH)などが知られている。カルマン(Kallmann)症候群の原因遺伝子であるANOS1(KAL1)などの異常はLH、FSH欠損による先天性性腺機能低下症の原因となる。近年、頭部外傷、くも膜下出血後、小児がん経験者においても下垂体機能低下症を認めることが報告されている。
また、分泌亢進症に関しては、腺腫、上位の視床下部における調節機能異常などが挙げられる。
3.症状
欠損あるいは過剰となるホルモンの種類により多彩な症状を呈する。
4.治療法
基礎疾患に対する治療
原因となっている腫瘍性ないし炎症性疾患が存在する場合は、正確な診断のもとに、各々の疾患に対し、手術や薬物療法、放射線療法などの適切な治療法を選択する。
ホルモン欠乏に対する治療
下垂体機能低下症に対しては、欠乏するホルモンの種類や程度に応じたホルモン補充療法が行われる。下垂体ホルモンはペプチドないし糖蛋白ホルモンのため、経口で投与しても無効である。このため、通常、各ホルモンの制御下にある末梢ホルモンを投与する。GHやFSHのように、遺伝子組み換えホルモン等を注射で投与する場合もある。
以下に、ホルモンごとの補充療法の概略を示す。
を疑う場合、少量デキサメサゾン抑制試験(Dexamethasone Supression
根治をめざした副腎腫瘍の摘出が原則である。副腎皮質癌が疑われる場合は,手術時の腹膜播種を避けるため開腹術が望ましい。片側副腎摘出後,健側からのコルチゾール分泌の回復に時間がかかる(通常6カ月以上)ことが一般的であり,その間グルココルチコイドの補充が必要である。コートリル®(ヒドロコルチゾン)を,症状に応じて補充し,徐々に減量・中止していく。減量時には関節痛などにより術前よりQOLが低下しうるので注意する。早急に血中コルチゾール濃度を低下させるべき重症例,手術不能例,不完全な腫瘍摘出例,再発例,副腎癌の転移などではコルチゾール合成阻害薬を使用する。
・デキサメタゾン抑制試験は、「クッシング症候群」などが疑われた ..
CRH負荷試験は外因性のCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)に対するACTHの反応を見る検査です。クッシング病では通常CRHに対してACTHが過剰反応を示します。
サメタゾン抑制試験を行います。PDH と AT の鑑別のために画像診断(特に超音波検査)、
オーバーナイト1mgデキサメタゾン抑制試験で,翌朝のコルチゾールが抑制不十分(3mg/dL以上)。コルチゾールの日内変動消失(夜間血中コルチゾールが3mg/dL以上)。腹部CTで副腎腫瘍,131Iアドステロール副腎シンチグラフィーで同部位に集積,典型的には健側副腎が萎縮する。
[PDF] 副腎性潜在性クッシング症候群:病態、成因、臨床的意義と新診断基準
大量デキサメタゾン抑制試験は高用量のデキサメタゾンを投与した際のコルチゾール抑制の程度を評価します。
[PDF] クッシング病の診断の手引き(平成21年度改訂) 1
副腎から分泌されるコルチゾールの分泌とその作用が過剰になり,特徴的な身体徴候とともに心血管,代謝,骨,皮膚,精神など全身の合併症をきたす。副腎腺腫からのコルチゾール過剰分泌を狭義のクッシング症候群と呼び,下垂体からのACTH(副腎皮質刺激ホルモン)過剰が原因となる病態をクッシング病(「クッシング病」の稿参照)として区別される。また,悪性腫瘍などに伴う異所性ACTH分泌や薬剤によっても同様の病態が生じる。
を内服した翌朝(8-10 時)の血中コルチゾール値が前値の半分以下に抑制され
医原性クッシング症候群で副腎が萎縮している場合、コルチゾールは変化しません。
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の場合、コルチゾールは過剰に増加します。
この試験の結果がグレーゾーンだった場合、低用量デキサメタゾン抑制試験を行います。
(DST)後の血中 F が ≥ 5 µg/dL の SCS 患者と顕性
原因に応じて治療方法は異なる。原則、腫瘍は手術もしくは治療により治療する。