[PDF] 慢性副鼻腔炎に及ぼすクラリスロマイ 少量長期投与の効果


マクロライド系抗菌薬(マクロライド系)はマイコプラズマ感染症の特効薬として使われていたが,工藤らのびまん性汎細気管支炎(DPB)に対するエリスロマイシン(EM)療法1)の際,高率に合併する慢性副鼻腔炎の症状も軽快することが知られるようになった。また,DPB を伴わない慢性副鼻腔炎単独例でも EM 療法が有効であること2)や,ニューマクロライド系抗菌薬(ニューマクロライド系)であるロキシスロマイシン(RXM),クラリスロマイシン(CAM)3)の有効性についても報告されたことから,マクロライド系抗菌薬少量長期投与療法(マクロライド療法)は急速に広まった。しかし,本来手術療法が適応の症例や,マクロライド系無効例に対しても漫然と長期投与が行われる傾向があり,注意が必要である。マクロライド療法は,薬剤感受性(最小発育阻止濃度,minimum inhibitory concentration:MIC)以下の投与量であり,それを長期間続けることは,薬剤に対する耐性化を生じさせる要因となる。現在,マクロライド系耐性を示す肺炎球菌は,小児中耳炎患者の鼻咽腔から検出される肺炎球菌の 70%を占めるまでに至っている4)。海外の小児急性鼻副鼻腔炎治療ガイドライン改訂版では,マクロライド系の少量長期投与は行われておらず,マクロライド系投与はβラクタム系抗菌薬にアレルギーをもつ場合のみとされている5)。したがって,マクロライド系少量長期投与の適応は慎重に決定されねばならない。今回は,マクロライド療法について,特に有効性の高い慢性鼻副鼻腔炎を中心に,小児の滲出性中耳炎についても,その適応と使い方について述べる。


本研究はクラリスロマイシン(CAM)の 少量長期投与の効果を評価するためにデザインされた。対象は

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耐性菌は本当に大きな問題であり、特に有名なのがMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)、や多剤耐性緑膿菌などで、ニュースでも集団感染が取り上げられたりします。

ちょっと前に日本でも『カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)』という菌が検出され話題となりました。『スーパー耐性菌』とも呼ばれ、有効な抗生剤がほぼ存在しないわけです。
『カルバペネム系』は効かなくなることがニュースになるくらい重要なお薬なわけですね。

病態が多様で治療方法も様々な慢性副鼻腔炎の治療では、個々の患者さまの病態を鑑別し、病態にあった治療の実施がポイントになります。そのため症状や病歴のみならず、アレルギー性鼻炎・喘息・鼻中隔弯曲・鼻茸などの有無、鼻汁の性状、X線検査やCT検査といった画像所見などを参考にします。

5. 効能または効果に関連する注意. <一般感染症:咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎>.

クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシンといったマクロライド系抗生物質を通常の半分の量で、2週間から数ヶ月間という長期間服用します。抗菌作用の弱い抗生物質を半量で用いるため長期間の服用でも安全性は高いです。

内視鏡を使用して手術操作をすべて鼻の穴から行う、より安全で低侵襲(傷が少ない)手術です。鼻茸を切除し、病的な粘膜を除去された各副鼻腔が鼻腔に大きく開放されることで、副鼻腔炎の再発を防ぎます。

投与量は,エリスロマイシン10 mg/kg/day,クラリスロマイシン3 mg/kg/dayとした.

鼻腔を左右に仕切る鼻中隔は誰しも多少湾曲していますが、鼻閉や副鼻腔炎、嗅覚低下・障害が生じるほど湾曲の度合いが強ければ、曲がった部分の鼻中隔軟骨・骨を摘出してまっすぐにします。この手術は鼻内からアプローチします。

好酸球性副鼻腔炎は近年増加している難治性の副鼻腔炎で、鼻茸(鼻腔ポリープ)や副鼻腔粘膜への顕著な好酸球浸潤を特徴とします。
好酸球性副鼻腔炎は喘息との関わりが強く、one airway one disease(喘息と好酸球性副鼻腔炎は気道に生じた同じ炎症病態)とも言われます。当科では当院呼吸器センタ-と協力して気道全体のトータルケアを行い、治療成績が向上しています。

近年マクロライドの少量長期投与による有用性が明らかになってきています。 ..

この頁では、好酸球性副鼻腔炎の症状・発症原因に関する当科メンバーらによる研究成果、当科の治療方針について解説します。

マクロライド少量長期投与を基本とする薬物療法と、内視鏡下副鼻腔手術を組み合わせて治療しますが、好酸球性副鼻腔炎は再発しやすい難治性の副鼻腔炎で、近年増加傾向にある病気です。
鼻内には鼻腔ポリープである多発性の鼻茸が生起し、副鼻腔粘膜への顕著な好酸球浸潤が特徴で、主に副鼻腔の病変は篩骨洞、嗅裂という部位に起こります。


慢性副鼻腔炎 | 岸和田市の耳鼻科 耳鼻咽喉科のあいばクリニック

鼻腔につながる顔面骨の空洞を副鼻腔といい、副鼻腔の炎症を副鼻腔炎と呼びます。
副鼻腔炎は急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎に分けられます。急性副鼻腔炎は細菌やウイルス感染などによって副鼻腔に起こる急性の炎症で、膿性鼻汁、頭痛や顔面痛を生じ、通常は1~2週間で治ります。
副鼻腔の炎症症状が3ヵ月以上続くものを慢性副鼻腔炎と呼びます。慢性副鼻腔炎では持続性の膿性・粘性鼻汁、鼻つまり、頭痛・顔面痛、嗅覚障害などを生じます。
鼻茸(はなたけ)は、粘膜が慢性炎症によって腫れて、見た目がキノコのようになったもので、ポリープとも呼びます。鼻茸は大きくなると鼻づまりの原因となり、鼻腔をふさいで副鼻腔の換気を妨げ、副鼻腔炎を長引かせる原因となります。

ライドといわれるクラリスロマイシン(CAM14 員環マクロライド)の方が、効果があ

鼻の中は医学的には鼻腔(右図の緑の点線)と言いますが、鼻腔には左右の鼻のしきいである鼻中隔や下甲介、中甲介といった棚状の突起が存在します。鼻腔の周囲には副鼻腔という空洞があり、それには、ほっぺたの裏側にある上顎洞、両目の間にある篩骨洞、おでこの裏にある前頭洞、鼻の奥の一番深いところにある蝶形骨洞などがあります。これらの副鼻腔は全て細い穴で鼻腔に通じています。正常ではこれらの副鼻腔の中は、薄い粘膜で覆われていて、それ以外は空気で満たされているのですが、この空洞に炎症が起こるのが副鼻腔炎です。

14 員環(エリスロマイシン EM、クラリスロマイシン CAM、ロキシスロマイシン RXM) ..

副鼻腔炎が起こる原因としては、まず風邪などのウィルスや 細菌の感染によって鼻腔に炎症が起ります。副鼻腔は鼻腔とつながっていますから、副鼻腔にも炎症が及びます。この状態が急性の副鼻腔炎ですが、急性の場合には自然に治ったり、短期間細菌を叩く抗生物質などの薬物療法で、比較的簡単に治ります。ただ、ここで問題となるのは、副鼻腔粘膜の炎症が長引いた場合で、そうなると本来うみを排出する能力を持った粘膜の働きが悪くなり、粘膜そのものが腫れ上がって鼻腔との交通路をふさいでしまい、さらに炎症が治りにくくなるという悪循環におちいります。この状態が慢性副鼻腔炎、俗に言う蓄膿症です。ひどいときには腫れた粘膜が鼻腔まで広がって、ポリープ(いわゆる鼻たけ)になったりします。
この他にも、ハウスダストや花粉によるアレルギーや、喘息などが副鼻腔炎を治りにくくする場合もありますし、鼻中隔弯曲症や中甲介蜂巣などの骨構造の異常も悪化因子となり得ます。

ペニシリンやクラリスロマイシンなど, 痰切り(去痰薬) 咳止め(鎮咳薬) 痛み ..

近年、小児の副鼻腔炎は程度が軽くなってきており自然に治る傾向もあるため、減少傾向にあります。しかし、一方ではアレルギー性鼻炎の合併が60%弱に認められ、滲出性中耳炎などの耳の病気や頑固な咳の原因にもなるために放置できない副鼻腔炎が多いことも事実です。治療は成人の副鼻腔炎とほぼ同様でマクロライド系抗生物質の長期少量投与や抗ヒスタミン剤などの薬物療法が中心となります。ただ、保存的治療で良くならない場合やポリープがある場合、耳や咳などの合併症が良くならない場合は手術が必要となります。一般的には小児の副鼻腔炎は7~8歳をピークとしてそれ以後は治癒傾向にあるために10歳を過ぎても良くなってこないときに手術を考えます。現在では内視鏡下手術により、骨の発育に悪影響を与えない手術もできるようになってきましたが、小児の場合は必要最小限の手術がふさわしいと考えられています。また、術後の治療も重要で、成人以上に完全治癒までの時間がかかるために術後数年間は経過観察が必要です。

3)高谷久史ほか:THERAPEUTIC RESEARCH 25(1):246,2004, エリスロマイシン,

鼓膜切開術のメリットとデメリット
・メリット
急性中耳炎の場合
急性中耳炎による痺痛、発熱からの速やかな解放
急性中耳炎の起炎菌の同定および薬剤感受性が可能
耐性菌による急性中耳炎の場合、感染菌量の減少により抗菌薬の効果発現を助ける
局所への抗菌薬の投与が可能
急性中耳炎から浸出性中耳炎への移行率を低下
浸出性中耳炎の場合
難聴からの早急な解放
長期浸出液の貯留による内耳障害を防ぐことができる
・デメリット
麻酔を行っても軽度の痺痛を伴う
早期に鼓膜切開孔が閉鎖した場合、中耳炎が反復し、鼓膜切開術を繰り返さなければならないことがある
鼓膜切開術後、鼓膜に永久穿孔が残る可能性がある

鼓膜切開術のメリットとデメリット
鼓膜切開術は、耳鼻咽喉科の外来治療において最も頻回に行われている手術手技であり、耳鼻咽喉科医の側からするとあまり意識せず通常の診療の一環として行いがちである。しかし、鼓膜切開術は診療行為の内容からは明らかに手術行為であり、施行前には当然患者およびその代理人(多くの場合は両親である)に対し、その診療内容について説明を行い、同意を得てから行わなければならない。その説明の中には当然、鼓膜切開術のメリットおよびデメリットを含めた必要性を説明しなければならないが、実際には施行する側からすると鼓膜切開術のメリットばかりを強調してデメリットを説明せずにあるいは説明不足の説明になりがちである。
近年、様々な要因(耐性菌の増加、幼少時からの集団保育、免疫不全等)により、急性中耳炎の難治化あるいは反復化する症例が急増している。このような症例には、表に示したように鼓膜切開術は非常に有用な治療手段である。しかし、デメリットに示したような要因が生じることがあり、この点については十分な説明を行い、同意を得ておく必要がある。特に鼓膜切開術を行えば、すぐ治癒すると考える両親もいるため、繰り返し鼓膜切開術を行うことに難点を示すこともあり、鼓膜切開術を施行してもすぐ治癒するのではなく。繰り返し施行しなければならない症例もあるということを詳しく説明しておく必要がある。そうしないと、疼痛・発熱・耳漏
等の自覚症状が消失した時点で、患者の方が勝手に治療を中止したり、ドクターショッピングをしたりする場合が生じてくる。
また、滲出性中耳炎においては、中耳腔に貯留している滲出液を排液することにより、難聴から即座に解放されるということが最大のメリットである。しかし、滲出性中耳炎のどの状態、すなわち発症してからどのくらい経過観察を行った場合に鼓膜切開術が必要であるかは、滲出性中耳炎の治療を開始する時点で、十分に説明し、同意を得ておく必要がある。また、滲出性中耳炎の治療は長期にわたることが多く、数回の鼓膜切開術を必要とすることもあるため、治療を始める時点で、鼓膜切開術を含めた治療方針を説明し同意を得ておかないと、急性中耳炎の治療の時と同様、中途半端な治療になる可能性がある。

鼓膜換気チューブ留置術のメリットとデメリット
・メリット
難治性、反復性中耳炎の場合
(急性中耳炎のメリットに加え)
鼓膜切開術の反復の回避
中耳腔からの十分な排膿とそれに続く中耳腔の十分な換気により、約70-80%の症例で難治性中耳炎のコントロールが可能
溶出性中耳炎の場合
鼓膜切開術の反復の回避
耳管機能が悪い小児においても、換気チューブを通しての上鼓室、乳突洞、乳突峰巣の含気化および発育が可能になり、滲出性中耳炎から解放される
滲出性中耳炎に伴う難聴による言語発達および言語習得障害の改善
・デメリット
長期にわたって留置した場合には、抜去後永久鼓膜穿孔が残存することがある
留置後感染を起こした場合、耳漏が長期にわたって生じることがある
水泳を行う場合には、耳栓を必要とする

鼓膜換気チューブ留置術のメリット,デメリット
最近の急性中耳炎の難治化および反復化の増加に伴い、鼓膜切開術を含めた治療を行っても、治癒に導くことの難しい症例が急増している。特に乳幼児を含めた小児においてその傾向が著明である。このような症例に対しては、鼓膜換気チューブ留置術を施行するのが有効な手段であるといわれている。しかし、その場合にも表に示すように、メリットばかりではなく、デメリットも存在する。これらのデメリットのうち、最も問題となるのが、留置チューブを抜去したのちの永久鼓膜穿孔の残存である。この点については、術前の説明を、できれば自分の施設での鼓膜穿孔の残存率を示しながら行うと同時に、最近では接着法による鼓膜形成術で鼓膜の再生が可能であることも説明し、同意を得ておく必要がある。また、留置後感染を起こした場合には、長期にわたり耳漏が出現することがあること、場合によってはいったん留置したチューブを抜去し、感染が落ち着いた時点で再挿入が必要となる可能性もあることを十分に説明し同意を得ておく必要がある。

鼓膜切開術および鼓膜換気チューブ留置術の術中の合併症
・麻酔施行時
全身麻酔時の一般的な合併症
イオントフォレーゼ麻酔時に生じる一過性の内耳障害による眩暈
一過性の顔面神経麻痺
・鼓膜切開術および鼓膜換気チューブ留置術施行時
小児の場合暴れることで外耳道損傷をきたすことがある
頭部の固定が不十分で術中に動いた場合、耳小骨へ障害を与え、耳小骨離断等の障害が生じることがある
中耳の解剖学的異常(高位頚静脈球など)により大量出血等の合併症をきたすことがある
鼓膜換気チューブ留置術の場合、誤ってチューブが中耳腔に落下することがある

鼓膜切開術および鼓膜換気チューブ留置術の術中の合併症
鼓膜切開術は、大部分は外来で局所麻酔下に行われることが多いが、鼓膜換気チューブ留置術は、症例により局所麻酔下では困難であり全身麻酔が必要となる場合がある。局所麻酔および全身麻酔のいずれも麻酔そのものによる合併症がある。局所麻酔の合併症はいずれも一時的なものであり、長くとも数日中に回復することを術前に説明しておく必要がある。特に麻酔液の中耳腔への流入により、一過性の眩暈を生じることがあり、その説明は必ず行っておく必要がある。そうしておかないと場合によっては後で問題となることもある。全身麻酔による合併症については、耳鼻咽喉科医が説明するよりも麻酔科医に説明を依頼した方がよい。
術中の麻酔以外の合併症には、中耳奇形による場合と、手術手技による場合とがある。中耳奇形によるものは、術前の鼓膜の詳細な観察によりその大部分は避けることができるが、術前に解剖学的異常により生じうる合併症の可能性については説明しておく必要がある。また、手術手技による場合の大部分は、頭部の固定が不十分で、術中に頭部が急に動くことにより生じる場合が大部分である。耳小骨に対する障害や鼓膜換気チューブの中耳腔への落下等があり、可能性は低いものの術前の説明の際には同意を得ておく必要がある。また、最近の報告では、鼓膜切開術施行時に外リンパ療を生じたとの報告もあり、まれな例としても説明が必要であると考えられる。
(宇野耳鼻咽喉科 宇野芳史先生)

後、マクロライド療法はDPB以外のさまざまな呼吸器、耳鼻科領域の慢性疾患に臨床応用が広がり、加え ..

鼻鏡や内視鏡を使って鼻の中に膿や粘性鼻汁、ポリープ等がないか確認します。
レントゲンやCTで副鼻腔に膿が貯まっていないか粘膜がはれていないか確認します。

に、クラリスロマイシンとの併用により、相手薬の血中濃度が上昇することから ..

慢性副鼻腔炎の標準的な治療はマクロライド少量長期投与を主体とした薬物療法と、内視鏡下副鼻腔手術の組み合わせです。しかし好酸球性副鼻腔炎は手術を行っても再発しやすく、難治性です。

クラリスロマイシン(クラリシッド、クラリス) – 呼吸器治療薬

慢性副鼻腔炎に対するマクロライド療法のガイドラインでは、成人は1日エリスロマイシン400~600mg、またはクラリスロマイシン200mg、またはロキシスロマイシン150mg、小児は1日エリスロマイシン10mg/kg、またはクラリスロマイシン5mg/kgを基準として症例により適宜増減する。3ヶ月投与で全く無効な症例は速やかに他の治療法に変更し、有効症例でも連続で3~6ヶ月で一度中止し、症状再燃時に再投与する。小児にはできるだけ投与期間を短縮し、2ヶ月で有効性を認めなければ中止する。