に渡航者下痢症,細菌性赤痢,サルモネラ腸炎,早期のカンピロバクター腸炎などにおいては,適切な抗菌薬の投 ..


・Campylobacter腸炎
腸炎症状が始まる12〜24時間前に発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感などの前駆症状がある。症状は1日から1週間以上続くことがある。
下痢は、軟便から重度の水様、血便までさまざま。多くの患者で、1日10回以上の下痢をする。腹痛は排便により緩和される。多くが自己制限的であり、数日で症状は徐々に軽快する。ただし、10%〜20%で1週間以上持続、治療を受けていない患者の5%〜10%で再発が見られる。
腹痛は右下腹部痛であることが多く、Yersinia enterocoliticaやSalmonella enteritidisと同様に、偽虫垂炎の所見を呈する。

・C. jejuni菌血症
菌血症は、C. jejuniの1%未満。急性腸炎で医師が血液培養を取る閾値を超えないことも影響している。
腸管外C. jejuni感染の3パターン
1) 急性カンピロバクター腸炎の正常な宿主に生じる一過性菌血症。
数日で血培陽性となった頃には、すでに患者は完全に回復していることもある。この場合の予後は良好であり、通常血液培養陽性をみての治療は不要。
2) 免疫正常者に生じる、腸炎後の持続菌血症もしくは深部感染。
この時分離されるC. jejuniは"serum resistant"であることが多い(自然免疫や液性免疫により除去されにくい株)が、抗菌薬が通常良く効く。
3) 免疫不全者で生じる、持続的な菌血症または深部感染。多くは腸炎を伴わない。この時分離されるC. jejuniは"serum sensitive"であることが多いが、宿主の免疫機構の問題により、滅菌するには長期の抗菌薬治療が必要。

・Campylobacter腸炎の合併症
急性期
胆嚢炎、下痢を伴う腹膜透析関連腹膜炎、皮疹(蕁麻疹、結節性紅斑など)、感染性動脈瘤、心膜炎、心筋炎 など

遅発性
・反応性関節炎
下痢の発症後、通常1〜2週間(場合によっては数週間)に出現。
小関節炎。関節炎の期間は1週間から数ヶ月
・ギランバレー症候群(GBS:急性免疫介在性多発神経障害)
GBSの30〜40%はCampylobacter感染に起因。
Campylobacter感染の1〜2週間後に神経症状が生じる。
C. jejuni感染の症候性エピソード後の2か月間にGBSを発症するリスクは、一般集団でGBSを発症するリスクよりも約100倍高い。


(必要ないので求めてはいけません!) カンピロバクター菌、赤痢菌、サルモネラ

カンピロバクター属菌は2004年現在、17菌種6亜種3生物型から構成されている。ヒトのカンピロバクター感染症は胃腸炎症状を主たる臨床像とし,その原因菌の95〜99 % は subsp. (以下 )で、は数%に止まる。また、敗血症や髄膜炎、膿瘍などの検査材料から分離されるカンピロバクターはsubsp. であることが多い。カンピロバクター感染症は腸炎、または食中毒とほぼ同義語と考えてよく、ここではその周辺に焦点をあてて概説する。

発疹チフスなどのリケッチア感染症、ツツガムシ病:基本的にはテトラサイクリン系を優先しますが、小児や妊婦では第一選択になり得ます。
百日咳(第一選択)
カンピロバクター腸炎(第一選択)
レジオネラ感染症(第一選択)
非定型抗酸菌の予防・治療(第一選択)
ヘリコバクター・ピロリの除菌療法(第一選択)
アジスロマイシンやロキシスロマイシンとどちらが優れているかは大変難しい問題です。非定型抗酸菌やヘリコバクター・ピロリのようにクラリスロマイシンによる治療が確立しているものに、理由も無くアジスロマイシンを代替薬として用いる必要はないでしょう。(新しい薬がいい薬、とは限らありません。)しかし、一方でアジスロマイシンの薬物動態学的特性(飲ませる期間が短く、回数も1日1回でよい、見かけの分布容積がとても大きい)は魅力的であり、マクロライドという服薬コンプライアンスが悪く(つまり味が悪く)、耐性菌の問題が深刻になっている薬剤では重要な利点です。

[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠

ある年の秋、腹痛、下痢、高熱を訴えて、太融寺町谷口医院を受診されたXさん。問診から、受診の4日前に鶏の刺し身を食べたことが分かりました。細菌性腸炎と考えられたため、抗菌薬を投与すると同時に便培養検査を実施。その4日後にカンピロバクターが検出されました。再診時、症状は大きく軽減しており、Xさんには、私から鶏の生食が危険であることを説明しました。

一般的に、細菌が原因の食中毒は、10万~100万個の菌を摂取しないと感染しませんが、カンピロバクターの場合は、100個程度と比較的少ない菌量の摂取で感染することが分かっています。また、日本で発生している食中毒の中で最も発生件数が多く、患者数も平成20年は、ノロウイルスに次いで2番目に多くなっています。

[PDF] クラリスロマイシン製剤 マクロライド系抗生物質製剤

その2年後、Xさんがまったく同じ症状で受診されました。「4日前に鶏のタタキを食べた。カンピロバクターだと思う」と自己申告。なんでも、2年前の高熱と腹痛は確かに苦しかったものの、抗菌薬が劇的に効いたことで「腹痛はイヤだけどすぐに治るのなら、鶏の刺し身やタタキを食べたい」と考えたとか。2年前と同様に抗菌薬を処方し、培養検査を行ったところ、“予想通り”カンピロバクターが検出されました。

抗生物質の多くは腸内細菌叢に影響を及ぼしますが、使用方法によっては必ずしも悪影響となるわけではないようです。

クラリスロマイシンは,1991年3月に承認されたマクロライド系抗生物質である。 ..

人への感染は、カンピロバクターに汚染された食品・飲料水の摂取や、動物との接触によって起こります。中でも、鶏肉からの感染が多く、そのほとんどが生や加熱不足の鶏肉を食べることによって発生しています。このほか、殺菌が不十分な井戸水の飲用による感染事例なども報告されています。

例えば、過敏性腸症候群(IBS)では腸内細菌叢の乱れが病気の一因とされていますが、難吸収性の抗生物質であるリファキシミンの経口投与は、その治療法として有用であるとの報告があります。


クラリスロマイシン錠200mgの場合、服用後に腹痛、下痢、発疹(他多数) ..

C. jejuniとC. coliは通常、マクロライド、フルオロキノロン、カルバペネム、アミノグリコシドに感性。また、in vitroでクリンダマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールに感性であるが、これらの薬剤の臨床的有効性を示すデータはない。ペニシリン、多くのセファロスポリンを含むβラクタム薬、トリメトプリムに耐性。
一方、C. fetusは基本的にマクロライド、フルオロキノロンに耐性。アンピシリン、カルベペネム、アミノグリコシドに感性。

・Campylobacter jejuni腸炎
基本的は自己限定的なため、抗菌薬加療は不要。体液量/電解質管理を行う。
抗菌薬加療を行うのは、重症の時と、重症化のリスクがある時(高齢、妊婦、免疫抑制)
アジスロマイシン 1回500mg 1日1回 経口 3日間
代替薬:シプロフロキサシン 1回500mg 1日2回 経口 3日間
重症の場合、カルバペネム±アミノグリコシド
※渡航者、特に東南アジアは、フルオロキノロン耐性が増えている

・Campylobacter jejuni菌血症
アジスロマイシン 1回500mg 1日1回 経口 14日
重症の場合、カルバペネム±アミノグリコシド

細菌の蛋白合成を阻害することにより細菌の増殖を抑えるマクロライド系抗生物質です。

カンピロバクターは、豚、鶏、犬、牛等の腸管にあり、生肉や汚染水によって人の大腸に感染します。ペットの便から経口感染することもあります。

11 カンピロバクター腸炎(Campylobacter enteritis)

ほかの細菌による食中毒症状と同様に、、、などの症状がみられます。特徴的な症状としては、に代表される中枢神経症状があるといわれています。また、潜伏期間が1~7日間とやや長いことも特徴です。患者の多くは1週間程度で回復し、死亡例や重症例はまれです。しかし、子どもや高齢者、その他抵抗力の弱い人は重症化する可能性が高いので、注意が必要です。また、感染の数週間後に手足の麻痺や、などを起こす「」を発症する場合もあります。

第一選択薬はクラリスロマイシンやアジスロマイシンなどのマクロライド系薬となる。

以前、この連載の「」で「ギラン・バレー症候群」を少し紹介しました。ギラン・バレー症候群とは、何らかの細菌やウイルスに感染した後、全身の神経が障害され、手足が不自由となり、さらに重症化すると人工呼吸器が必要になることもある疾患で、09年に他界した大原麗子さんが長年患っていたことがよく知られています。このような神経症状が生じるのは感染した後に体内でつくられる「抗体」が原因です。抗体が、敵ではなく自分の神経を攻撃するというのが、この病気の発症のメカニズムです。

カンピロバクター腸炎は特に乳幼児や学童の下痢症として重要な疾患で、原因菌の95 ..

抗生物質の使用により変化した腸内細菌叢は、多くの場合、その使用後2~4週間以内にもとの状態に戻ると考えられています。

第₁選択薬であるマクロライド系抗菌薬のクラリスロマイシン(CAM)とエリスロマイ.

病因・病態の特徴
全てのCampylobacterが病原性を持つわけではない。
最も重要な3つの要因
・小腸に到達する菌量
・感染株の病原性
・宿主の特異的免疫:特に液性免疫が関与
潜伏期間 1日〜7日 摂取した菌量が多ければ発症も早い。
多くは曝露後2〜4日で発症。
牛乳、脂肪分の多い食品、水など、胃酸バリアを通過しやすい飲食物を摂取すると、比較的低菌量で感染症が発生する可能性がある。(胃酸環境がCampylobacterの障壁となるため)
同様に、PPIまたはH2遮断薬を使用していると感染しやすくなる。
C. jejuniは、ヒトの胆汁で増殖する。これにより、感染の初期に胆汁が豊富な上部小腸の定着を助ける。空腸、回腸、結腸に腸炎を生じさせる。
しばしば菌血症を生じさせる。Campylobacter fetus subsp. fetusが良く報告されるが、C. jejuniの方が遥かにcommonである。

カンピロバクター種の耐性菌が選択される可能性を示している。飼料内抗菌剤の広範 ..

潜伏期は通常2~3週間で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などである。咳は初発症状出現後3~5日から始まることが多く、当初は乾性の咳であるが、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続く(3~4週間)。特に年長児や青年では、後期には湿性の咳となることが多い。鼻炎症状は本疾患では典型的ではないが、幼児ではより頻繁に見られる。嗄声、耳痛、咽頭痛、消化器症状、そして胸痛は約25%で見られ、また、皮疹は報告により差があるが6~17%である。喘息様気管支炎を呈することは比較的多く、急性期には40%で喘鳴が認められ、また、3年後に肺機能を評価したところ、対照に比して有意に低下していたという報告もある。昔から「異型肺炎」として、肺炎にしては元気で一般状態も悪くないことが特徴であるとされてきたが、重症肺炎となることもあり、胸水貯留は珍しいものではない。
他に合併症としては、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など多彩なものが含まれる。
理学的所見では聴診上乾性ラ音が多い。まれに、胸部レ線上異常陰影があっても聴診上異常を認めない症例があり、胸部レ線検査が欠かせない。胸部レ線所見ではびまん性のスリガラス様間質性陰影が特徴とされてきたが、実際には多いものではなく、むしろウイルス性、真菌性、クラミジア性のものに多いと報告されている。マイコプラズマ肺炎確定例では、大葉性肺炎像、肺胞性陰影、間質性陰影、これらの混在など、多様なパターンをとることが知られている。血液検査所見では白血球数は正常もしくは増加し、赤沈は亢進、CRP は中等度以上の陽性を示し、AST 、ALT の上昇を一過性にみとめることも多い。寒冷凝集反応は本疾患のほとんどで陽性に出るが、特異的なものではない。しかしながら、これが高ければマイコプラズマによる可能性が高いとされる。

[PDF] 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 (案) 資料2

しかしながら、抗生物質の種類や投与量、投与方法などによって、その期間は変わってきます。

抗生剤(抗菌剤)の適正使用 (後編) | みうら小児科クリニック

下痢やおう吐などによる脱水症状に対しては、水分や塩分などをこまめに摂取するようにしましょう。病院では、腸内の菌を殺す抗菌薬や、腸内環境を整える整腸剤を組み合わせた薬が処方されます。下痢が起こるため、自己判断で下痢止めを服用してしまうこともありますが、下痢を止めることによって、細菌を体の外に排出する働きを妨げてしまうので、安易に下痢止めを使用するのはやめましょう。

いずれも第一選択薬はマクロライド系抗菌剤(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)

(2023年9月13日改訂)エルシニア属細菌の一種,ペスト菌(Yersinia pestis)感染に起因する全身性の侵襲性感染症.動物由来感染症.げっ歯類を保菌宿主とし,節足動物(主にネズミノミ属のノミ)によって伝播される.ペスト菌感染動物を感染源とする直接感染もある.肺ペスト患者から排出された気道分泌液により,ヒトーヒト間で飛沫感染する場合がある.潜伏期間は通常1〜7日.感染ルートや臨床像によって腺ペスト,肺ペスト,および敗血症型ペストに分けられる.治療薬として,フルオロキノロン系,アミノグリコシド系もしくはテトラサイクリン系の抗菌薬が使用され,その投薬期間は10〜14日間である.適切な抗菌薬による治療が行われなかった場合,腺ペストでの死亡率は30〜60%である.肺ペストの場合はさらに死亡率は高まる.抗生物質の発見前には全世界的な大流行が幾度か記録されており,特にヨーロッパでは黒死病として古くから恐れられてきた.近年の流行は,アフリカ,南米で報告がある.北米やアジアでも散発事例が報告されている.

*2:クラリスロマイシン 400 mg,ロキタマイシン 600 mg.

【A】軽度症例は補液などの対症療法のみ。
重症例や免疫不全者は抗菌薬の適応である。
クラリスロマイシン (CAM) 1回200mg 1日2回、3〜5日間
アジスロマイシン (AZM) 1回500mg 1日1回、3〜5日間
エリスロマイシン (EM) 1回200mg 1日4回、3〜5日間
※世界的にキノロン系の耐性化がすすんでいる。
※現在(2016年)はマクロライドが第一選択となっているが、耐性が発現している。
症状 : インフルエンザ様症状であり、ギランバレー症候群の原因となる可能性がある。
〔参考 : JAID / JSC 感染症治療ガイドライン2015 -腸管感染症-〕