[PDF] 妊娠時の安全性評価・授乳中のカテゴリー Contents
しかし、妊娠中の女性の行動はまるで異なります。妊娠中に抗菌薬を気軽に飲む人はまずいません。それどころか「前の病院で妊娠の可能性があると言ったんだけど、この抗生剤(患者さんは「抗菌薬」ではなく「抗生剤」「抗生物質」と呼ぶことが多い)が処方されました。飲んでもいいですか」と、わざわざ私の診療所を受診したり、メールを送ってきたりして尋ねる人がいます。
妊娠中に一部の抗生物質を使用すると自然流産のリスクが上昇する可能 ..
前医が処方したものを私が撤回するわけにはいきませんし、今のところ妊婦さんにあきらかな不適切処方が行われたと思われるケースには遭遇していませんから、そのような相談には「前医の指示に従ってください」と答えています。「」の回で紹介したように、「毎回風邪にクラビット」という安易に抗菌薬を処方する医師がいるのも事実なのですが、妊婦さんが相手の場合はそのような医師も慎重になるのかもしれません。
妊娠中の抗菌薬使用については、どのように考えればいいのでしょうか。もちろん、最も大切なのは「(細菌)感染症に罹患(りかん)しない」ということです。妊娠中に高熱が出るようなことがあれば、胎児に影響が及ぶ可能性もあります。ですから、細菌感染に限らず感染症全般への十分な対策が必要です。まずうがい、手洗いは確実に行うべきです。私は「奥さん(や娘さん)が妊娠している(かもしれない)」という患者さんを診察した時、場合によっては「今日は家に帰らずに実家やホテルに泊まった方がいいのでは?」と助言することもあります。
妊娠中期及び後期のラットに5mg/kgの14C-クラリスロマイシンを経口投与したところ、妊娠中期の全胎仔中濃
しかし風邪を含む飛沫(ひまつ)感染や空気感染をする感染症に対しては、うがい、手洗いだけで十分とは言えません。一般に、保育園、幼稚園のような幼児が集まる場所は「感染症の貯蔵庫」のようなものです。妊娠した時、終日自宅で過ごすことができればいいのですが、上の子供の保育園や幼稚園の送り迎えをしなければならないことがあります。この時に感染症をもらうのです。あるいは、上の子供が保育園などで感染し、その子供から自宅でお母さんが感染するケースもよく見られます。
妊娠中に一部の抗生物質を使用すると自然流産のリスクが上昇する可能性があると、大規模研究で示された。因果関係は明らかにされていないが、マクロライド系、キノロン系、テトラサイクリン系、スルホンアミド系、メトロニダゾールなどの抗生物質を使用すると、妊娠20週以前での自然流産リスクが2倍にもなりうると、研究グループは述べている。
「妊娠中も使える抗菌薬」の前提が崩れたら | 実践!感染症講義
ですから、感染予防のことだけを考えるなら「妊娠すれば上の子と隔離」が最善となるのですが、これは非現実的です。ですが、子供から感染するリスクが高いことは知っておかねばなりません。その知識があると、妊娠前に、お母さんは少なくとも麻疹(はしか)、風疹、水痘(水ぼうそう)、おたふく風邪の抗体があるかどうかを調べなければならない、そして抗体価が低ければワクチンを接種しなければならない、ということがおのずから理解できます。「」シリーズで紹介してきたように、現在の日本では妊婦さんが風疹にかかると赤ちゃんに先天性障害が起きる可能性があることは周知されていますが、妊娠中に麻疹、水痘、おたくふく風邪に感染、罹患したときのリスクは、軽視されているように私には思えてなりません。
話題を、妊娠中の抗菌薬使用の是非に戻します。うがい、手洗いをしっかりする、カンピロバクターなどの食中毒に注意する、けがを防ぐ、といった注意をしていても、細菌感染を完全に防ぐことは困難です。では、運悪く妊娠中に細菌感染を起こした場合はどうすればいいのでしょうか。
妊娠中と同様、授乳中に内服した薬の影響についてもよく問い合わせがあります。現在の ..
まず、大前提としてウイルス感染の可能性を排除すべきです。太融寺町谷口医院の例でいえば、季節にもよりますが、風邪症状で受診する人の8~9割はウイルス感染です。また、細菌感染であったとしても必ず抗菌薬が必要というわけではありません。グラム染色での炎症所見が軽度で、全身状態が良好であれば抗菌薬を処方しないケースがあります。食中毒の場合も、たとえカンピロバクターなどの細菌が検出されても軽症であれば抗菌薬は不要です。けが(外傷)の場合は、初期にしっかりと洗浄(水道水でOK)していれば抗菌薬を使わなくて済むことが多々あります。
妊婦さんに関することは、かかりつけの産婦人科に相談するのが基本ですが、状況によってはすぐに受診できなかったり、受診するほどでもないけれど心配で相談したいということもあるでしょう。当院は内科ですが、ときどき妊婦さんが受診されます。そんな方に役に立つように、妊婦さんのお薬の使用について、基本的な考え方を内科的な視点でまとめてみました。妊娠さんにおいて100%安全なお薬は無いわけですが、できるだけ危険や不安が少なくなればと思っています。
お薬の危険性を考えるにあたっては、もともとお薬とは無関係に全ての出産において先天的な異常が発生する危険があることを忘れないでください。問題はこのベースラインの危険に比べて、お薬がどの程度の危険度の上昇をもたらすかという点です。
成分名はクラリスロマイシンです。抗生剤にはさまざまな種類がありますがクラリス ..
その研究は、医学誌「Canadian Medical Association Journal」2017年5月1日号(オンライン版)に掲載されました(注)。カナダ・ケベック州在住で1998年から2009年に自然流産した15~45歳の妊婦8702人を対象に調べたところ、マクロライド系抗菌薬のアジスロマイシン(先発品の商品名は「ジスロマック」)を妊娠中に服用した人の流産のリスクは服用していない人の1.65倍、クラリスロマイシン(同じく「クラリス」「クラリシッド」)なら2.35倍にもなる、という結果が出たというのです。
2017年5月28日 妊娠中のマクロライド系抗菌薬は流産のリスク
妊娠周期は最終月経の開始日を0周0日として数えます。出産予定日は40週0日になります。通常、排卵は月経開始日から14日目前後なので、排卵日に受精すると考えると、受精成立から280日-14日=266日目で出産予定となります。
妊娠後期ではプロスタグランジンEの開存作用に対する胎児のNSAIDs感受性が ..
妊娠4週つまり受精から2週間くらいの時期は、全か無かの法則が働くと言われます。この時期にお薬を服用して受精卵に大きな影響を与えた場合、受精卵は死んでしまう(全か無かの法則の全の方)ので、妊娠自体に気づきません。小さな影響を与えた場合、代償機能が働いて全く問題の無い発育ができる(全か無かの法則のうち無の方)とされています。
そのため受精から2週までの間にお薬を服用しても影響は少ないと考えられます。
投与しないこと。コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状が報告されている。 妊婦
研究著者であるモントリオール大学(カナダ)教授のAnick Bérard氏によると、「流産リスクは抗生物質の種類により異なり、比較的安全なものもあれば、そうでないものもある。ただし、妊婦は抗生物質による治療を止めるべきだと示されたわけではなく、たとえ使用したとしても流産の可能性は依然まれである」という。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。] (2)授乳中の婦人には本剤投与中 ..
胎児の様々な器官が作られる時期で、最もお薬の影響を受けやすく、お薬による奇形が問題となる重要な時期です。そのため、この時期のお薬の使用には慎重さが求められます。月経予定日に月経が来ないことに気づき、産婦人科を受診して妊娠が判明した場合、妊娠が分かった時にはすでに最も過敏な時期に入っているということになります。
体腺腫のある患者では本剤の投与中止により妊娠中に下垂体腺腫の拡大が起こることが ..
これらのマクロライド系抗菌薬は、日本の使用量が他国より多いことが指摘されています。そして実際、妊娠中にもよく使われています。「マクロライド系が流産のリスクになるなら、ペニシリン系かセフェム系を使えばいいのでは?」と思うかもしれませんが、問題はペニシリンやセフェムがまったく効かない感染症に対処せねばならないケースです。特に、それが多くの妊婦さんが感染する感染症だった場合、どうすればいいのでしょうか。次回、考えてみたいと思います。
妊娠中に服用可能な薬剤は? ―抗生剤・抗ウイルス薬・消炎鎮痛剤
妊娠・授乳中の服薬については,さまざまな研究・調査からリスクとベネフィットを考え,治療上必要なものは継続することが多くみられます。しかし一般の方には,胎児の催奇形性や胎児毒性のために妊娠中の服薬は良くないという考えも根強くあるのが現状です。今回は,妊娠中に遭遇する疾患と薬の使用について,助産師・看護師としてどのように対応したらよいのか考えていきましょう。
妊婦または妊娠していると思われる方は、使用前に医師または薬剤師に相談してください。 授乳中の方は使えます。 効能効果
妊娠16週の妊婦から薬の使用について以下のような質問を受けました。どのように答えたらよいでしょうか。「薬を飲むことは,妊娠中は赤ちゃんの奇形の心配があるからいけないのですよね。これからの季節,風邪もひきやすいし心配です」
肝臓病など持病のある人、また、妊娠中の人は医師に伝えてください。 服用中の薬を医師 ..
お薬は妊婦さんの血液に取り込まれてから、胎盤を通過して胎児に影響します。そのため、お薬が胎盤を通過しやすいかどうか(胎盤移行性)が問題となります。胎盤を通過しやすいお薬の特徴には、濃度が高い・脂溶性が高い・蛋白結合率が低いなどがあります。
妊娠時に起こる悪心(吐き気)・嘔吐など重度のつわり症状改善薬です。日本では ..
一部の薬剤でリスクが高くなるのには、その作用が関連すると思われるという。例えば、テトラサイクリン系は胎児の歯を変色させ、骨の成長に影響を及ぼすため、妊娠中の投与は推奨されない。キノロン系はDNAに影響するとの動物実験データもある。一方、ニトロフラントイン(nitrofurantoin、国内未承認)は比較的安全であり、妊娠中によくみられる尿路感染症の治療に適すると考えられる。また、ペニシリンもよい選択肢であるという。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると ..
今回の研究では、抗生物質が及ぼす影響を明らかにするため、カナダ・ケベック州の15~45歳の妊婦コホートのデータを用いて、8,700人の自然流産の症例を、妊娠週数および妊娠した年を一致させた8万7,000人強の対照群と比較した。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれることがある。
もともと頭痛持ちという方も多いと思いますし、つわりがはじまってから頭痛がひどくて困っているという方もいらっしゃると思います。どのような薬で対処するのが良いのでしょうか。
アセトアミノフェン(カロナール)は水溶性の薬物であり、胎盤を通過しにくい性質を持ちます。これまで妊婦さんに使用される頻度の最も多かった解熱鎮痛薬で、奇形との関連は言われていません。最近では妊娠中のアセトアミノフェン使用と子の発達障害との関連性について報告する論文が出ましたが、総合的に考えてメリットをデメリットが上回るとは考えにくい状況です。
また、ロキソプロフェン(ロキソニン)も胎児に奇形を起こすとは考えられていません。
ただし、妊娠後期の解熱鎮痛薬の使用は注意が必要です。胎児の心臓には、胎盤から受け取った酸素の豊富な血液を全身に送るための動脈管と呼ばれるものが存在します。出産間近に解熱鎮痛薬を使用すると、この動脈管が収縮して胎児死亡につながる可能性があるのです。また、胎児の腎機能に影響して羊水過少を引き起こすこともあります。
腰痛に使う湿布でも、何枚も連用すると影響が出る可能性があるので注意が必要です。
と判断される場合にのみ投与すること。 なお,国外における試験で次のような報告
その結果、流産した女性の約16%が妊娠初期に抗生物質に曝露していたのに対し、対照群では13%未満であった。マクロライド系抗生物質であるアジスロマイシン、クラリスロマイシンに曝露すると、流産リスクがそれぞれ1.65倍、2.35倍となり、キノロン系抗生物質であるノルフロキサシンでは4倍にもなることが分かった。
クラリスロマイシンの即放錠または懸濁液に対して,影響を及ぼさない ..
Norwitz氏は、妊娠20週までに抗生物質を処方された女性の多さに驚いたと話しつつ、「この研究の最大の欠点は、流産の原因で圧倒的に多い遺伝子の問題を考慮していない点である」と指摘する。Bérard氏も、「対象者が出生前診断を受けたのかは不明である。また、感染症の重症度が結果に影響を及ぼした可能性も否定できない」と認めているが、しかし、そのような差異だけでは今回の結果を完全には説明できないとしている。