・緑膿菌やアシネトバクターの標的治療にほぼ用途は絞られる。 ・ESBL産生 ..


緑膿菌バイオフィルム形成に対するQuorum Sensing阻害剤としてのシクロデキストリンの効果
池田 宰 (宇都宮大学)


ブドウ糖非発酵菌を対象に抗緑膿菌活性をスペクトルに含む抗菌薬を投与 ..

昆虫を用いた緑膿菌感染モデルにおける乳酸菌による感染死の抑制
西田 智(帝京大学)
2.

緑膿菌VAPマウスモデルにおけるアミカシンとME1100(アルベカシン)の吸入療法の比較
賀来 敬仁(長崎大学)

緑膿菌 / バイオフィルム感染症 / 抗菌薬抵抗性 / rpoS / rpoN / quorum ..

緑膿菌バイオフィルムの酸素および酸化ストレス応答
新井 博之(東京大学)
2.

クラリス(一般名:クラリスロマイシン)とはマクロライド系の抗生物質です。従来のマクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンを改良してできたものであり、ニューマクロライドともいわれています。抗生物質の代表といえるのはβラクタム薬(ペニシリン系、セフェム系等)ですが、マクロライド系も肺炎球菌をはじめとするグラム陽性菌、インフルエンザ菌や百日咳菌など一部のグラム陰性菌、嫌気性菌、非定型菌のマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなど多くの細菌に対して効力を発揮します。いろいろな細菌に有効なので、呼吸器系の領域を中心に多くの診療科で処方されています。多くは咽頭炎・肺炎・中耳炎などに対する処方です。消化器領域ではピロリ菌の除菌薬としても数多く処方されています。皮膚科領域においては、感染を伴う、表在性/深在性皮膚感染症、リンパ管/節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍などの疾患に対して選択されることがあります。

[学会発表] クラリスロマイシンが及ぼす緑膿菌コロニー性状への影響2011

クラリスに最も特徴的なのは、一般的な抗生物質が効かないマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなどの非定型細菌にも有効であることです。マイコプラズマは肺炎を引き起こすことで有名ですが、皮膚に感染して皮膚に治りにくい傷を作る原因になることもあります。またクラミジアは性感染症の原因となり、外陰部に痛みや痒みを引き起こします。マイコバクテリウムは皮膚の下で膿を作り、ジクジクとした傷を引き起こす原因菌です。これらはどれも稀な病気で抗生物質が効きにくいのが特徴ですが、クラリスは比較的よく効きます。またクラリスが改良される前の薬であるエリスロマイシンには胃酸によって効力が落ちるという弱点がありましたが、クラリスは胃酸の影響をほとんど受けません。体内にしっかりと吸収されるため、1日2回の服用で十分な治療効果が得られます。その他の特徴として、クラリスはアレルギーを起こしにくいとされています。βラクタム系の抗生物質に対してアレルギーがある人でも使用可能です。ただし他の薬と相互作用を起こしやすいので、飲み合わせには注意が必要です。

▲図1.エリスロマイシンAの構造式


14員環マクロライドとしてはエリスロマイシンのほか、クラリスロマイシンやロキシスロマイシンなどがあり、15員環マクロライドとしてはアジスロマイシン、ツラスロマイシン、ガミスロマイシンなどが、16員環としてスピラマイシン、タイロシン、チルミコシン、ミロサマイシンなどが知られています。

一般的にマクロライドは肺への移行性が良いことから主に呼吸器感染症の治療薬として使用されており、主にブドウ球菌などのグラム陽性菌やマイコプラズマ、クラミジアなどのほか、ヘモフィルスやカンピロバクターなどの一部のグラム陰性菌に対して抗菌力を示します。その機序は、細菌のリボソームの50Sサブユニットに選択的に結合し、ペプチド転移反応を阻害することにより、タンパク質合成を阻害することによります。また、リンコマイシンやクリンダマイシンなどのリンコマイシン系抗生物質は、マクロライドと化学構造はまったく異なるものの、作用部位及び作用機序はマクロライドと同様で、リボゾームの 50Sサブユニットに結合してペプチド鎖の伸長を阻害するため、マクロライドとの交差耐性や作用部位の競合が認められ、作用部位が同じストレプトグラミン系と合わせて、Macrolide-Lincosamide-Streptogramin B class(MLS)とも称されています。

一方、マクロライドは先に述べた微生物に対して抗菌力を示すほか、様々な機能を有していることが知られています²⁾。例えばエリスロマイシンは抗菌作用以外にも消化管運動機能亢進作用を示すことです (表1) ³⁾。

クラリスロマイシンによる緑膿菌c-di-GMPの誘導 村上圭史(徳島大学) · 2

アシネトバクター・バウマニおよび緑膿菌の流行株の解析
鈴木 仁人(国立感染症研究所)
3.

ジベカシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ・ラクナータ(モラー・アクセンフェルト菌)、ヘモフィルス・エジプチウス(コッホ・ウィークス菌)、緑膿菌、アシネトバクター属


[PDF] 特にアジスロマイシンなどのアザライド系は、緑膿菌により引き

緑膿菌、変形菌による下記感染症および肺炎桿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌のうち、カナマイシンを含む多剤耐性菌で、ジベカシン感受性菌による下記感染症

緑膿菌における菌体密度感知機構、特にlasおよび/またはrhl菌体密度 ..

ジベカシンに感性の黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、緑膿菌

・呼吸器感染症の患者を多く診察するため、緑膿菌を含めて幅広い菌種に効果 ..

クラリスロマイシン少量長期投与が奏功した肺結核後の有瘻性慢性膿胸の一例

ラ属,インフルエンザ菌,緑膿菌等による呼吸器感染症に対する有効率

症例は78歳女性.平成5年7月前医で膿胸による皮下膿瘍のため胸膜剥皮術を実施されたが軽快せず,喀痰から結核菌が検出されたため,平成6年11月当科へ入院した.結核治療により喀痰中の結核菌排菌は入院1カ月後に陰性化したが,膿胸術創は胸腔皮膚瘻となり,喀痰と瘻孔から緑膿菌排菌が持続した.平成9年7月クラリスロマイシン200mg/日投与開始後,瘻孔からの排膿量は減少し始め,21カ月後には排膿が停止し,膿胸腔も閉鎖した.一般に肺結核後の有瘻性膿胸は主として外科的治療に頼らざるを得ない,内科的には治療の困難な病態である.外科的治療後も4年間瘻孔からの排膿が持続した本例に対し,クラリスロマイシン少量長期投与は排膿の停止と有瘻性膿胸腔の閉鎖をもたらし,極めて有効であった.

・乳酸菌よりビフィズス菌より優れている(緑膿菌など)と説明を受けた。

緑膿菌()は、水まわりなど生活環境中に広く常在するが、健常者には通常、病原性を示さない弱毒細菌の一つである。ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム薬に自然耐性を示し、テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質などの抗菌薬にも耐性を示す傾向が強く、古くより、感染防御能力の低下した患者において、術後感染症などの日和見感染症の起因菌として問題となってきた。最近、緑膿菌に効果が期待されるセフスロジン、セフタジジムなどのβ‐ラクタム薬のみならずイミペネムなどのカルバペネム系薬やシプロフロキサシン、レボフロキサシンなどのフルオロキノロン系抗菌薬、さらにアミカシンなどのアミノ配糖体系抗生物質などに幅広く耐性を獲得した臨床分離株が、散発的ではあるが各地の医療施設で臨床分離されるようになり、「多剤耐性緑膿菌」としてその動向が警戒されている。

[PDF] 3)緑膿菌バイオフィルム制御機構におよぼすマクロライド剤の効果


(1 )菌の特徴
細菌学的には、大腸菌や肺炎桿菌と同じくグラム陰性桿菌に分類されるが、ブドウ糖を発酵できない点などでそれらとは区別される。近縁の菌種として、蛍光菌()や などがある。ピオシアニン、ピオベルジン、ピオルビン、ピオメラニンなどの色素を産生し、また、o‐アセトアミノフェノンの産生により、甘酸っぱい特有の強い臭気を発する。
(2)菌の病原性
典型的な日和見病原細菌の一つであり、健常者には無害である。しかし、グラム陰性桿菌でありエンドトキシンを産生するため、何らかの原因で血液中に侵入し、菌血症や敗血症を引き起こすと、エンドトキシンショックが誘発され、多臓器不全により死亡することがある。その他、エキソエンザイムS(GTP‐結合蛋白のADP‐リボシル化酵素)やエキソトキシンA(蛋白合成に重要な役割を果たす伸長因子(EF‐2)のADP‐リボシル化による阻害)、さらに、コラゲナーゼ、フィブリノリジン、ホスホリパーゼなどの各種有害酵素を産生し、褥創などでは感染部位の細胞や組織を傷害する。
(3)薬剤耐性機構
染色体上に存在するampC 遺伝子に依存して、セファロスポリナーゼ(AmpC)を産生し、アンピシリンなどのペニシリン系抗生物質やセファロリジン、セファロチン、セファゾリンなどの初期のセファロスポリン系抗生物質に生来耐性を示す。また、臨床分離される株の大半が、修飾不活化酵素の産生や薬剤排出機構によりエリスロマイシン、クリンダマイシン、ミノサイクリンなどにも耐性を示す。一方、プラスミド依存性にゲンタミシンやアミカシンなどのアミノ配糖体系抗生物質の修飾不活化酵素を産生し、これらに耐性を示すものがある。さらに、染色体上に存在するDNA ジャイレースやトポイソメラーゼの遺伝子が変異し、シプロフロキサシンやレボフロキサシンなどのフルオロキノロン系抗菌薬に耐性を獲得した株も多くなっている。
一方、大腸菌などの他の細菌に比べ、緑膿菌では抗菌薬が細菌の膜を透過し菌体内に侵入する効率が低いため、抗菌薬が効きにくいと言われて来た。さらに、菌体内へ侵入した抗菌薬を菌対外へ排出する機構(能動排出ポンプ、active efflux pomp)などの関与により、各種の抗菌薬や消毒薬に対し、より耐性を獲得しやすいと言われている。

ジスロマイシンの緑膿菌への作用を DNA マイクロアレイを用いて詳細に検討 ..



緑膿菌は、従来より各種の抗菌薬に耐性を示す傾向が強く、日和見感染症の起因細菌として臨床現場で問題となっていた。わが国では、1970 年に緑膿菌に有効な抗菌薬としてゲンタマイシン(GM)が認可された。しかし、間もなく、GM に耐性を示す臨床分離菌が出現し、GM 耐性菌にも有効なアミノ配糖体としてアミカシン(1977)やイセパマイシン(1988)が開発されて来た。一方、緑膿菌は、染色体依存性に産生するハセファロスポリナーゼ(AmpC)により、ペニシリンやセファゾリンなどの初期のセファロスポリンに自然耐性を示すため、この酵素に安定なβ‐ラクタム薬として、ピペラシリン(1980)、セフスロジン(1980)、セフタジジム(1986)などが次々と開発され、臨床に投入されてきた。さらに、チエナム(1987)などのカルバペネム系抗菌薬も開発され、緑膿菌感染症に対し強力な援軍となった。他方、シプロフロキサシン(1988)やレボフロキサシン(1993)などのフルオロキノロン系薬も相次いで開発されるなど、緑膿菌による急性感染症は、化学療法によるコントロール可能な事例も多いと考えられ、1980年代からのMRSA の出現と蔓延の中で、ともするとその危険性が軽視され忘れられがちとなっていた。
しかし、1970年代後半からプラスミド依存性にアミカシンに耐性を獲得した緑膿菌が内外で出現し、さらに、1980年代の後半にはイミペネムをはじめ広範な広域β‐ラクタム薬に耐性を示す緑膿菌がわが国で出現するなど、緑膿菌感染症に対する化学療法の有効性が揺らぎはじめている。
現在、臨床分離される緑膿菌の数%がアミカシンに耐性を獲得しており、一方、イミペネムなどのカルバペネム薬に耐性を獲得した緑膿菌は、約2割に及ぶとされている。また、レボフロキサシン、シプロフロキサシンなどのフルオロキノロン薬に耐性を獲得した緑膿菌も2割程度を占めるのが一般的な状況となっている。イミペネム耐性菌では、ニューキノロンやアミノ配糖体に同時に耐性を獲得した株も散見されている。

イミペネム、パニペネム、メロペネムなどのカルバペネム系薬は、緑膿菌にも強い抗菌活性を示すため、現在、臨床現場で賞用されている。

副鼻腔炎が起こる原因としては、まず風邪などのウィルスや 細菌の感染によって鼻腔に炎症が起ります。副鼻腔は鼻腔とつながっていますから、副鼻腔にも炎症が及びます。この状態が急性の副鼻腔炎ですが、急性の場合には自然に治ったり、短期間細菌を叩く抗生物質などの薬物療法で、比較的簡単に治ります。ただ、ここで問題となるのは、副鼻腔粘膜の炎症が長引いた場合で、そうなると本来うみを排出する能力を持った粘膜の働きが悪くなり、粘膜そのものが腫れ上がって鼻腔との交通路をふさいでしまい、さらに炎症が治りにくくなるという悪循環におちいります。この状態が慢性副鼻腔炎、俗に言う蓄膿症です。ひどいときには腫れた粘膜が鼻腔まで広がって、ポリープ(いわゆる鼻たけ)になったりします。
この他にも、ハウスダストや花粉によるアレルギーや、喘息などが副鼻腔炎を治りにくくする場合もありますし、鼻中隔弯曲症や中甲介蜂巣などの骨構造の異常も悪化因子となり得ます。

[PDF] 慢性下気道感染症に対するマクロライド療法の有効性と今後の課題



イミペネム、パニペネム、メロペネムなどのカルバペネム系薬は、緑膿菌にも強い抗菌活性を示すため、現在、臨床現場で賞用されている。しかし、現時点で臨床分離される緑膿菌の中で、イミペネムに耐性を獲得した株の割合は2割程度に及んでいる。イミペネム耐性の機構としては、イミペネムが細菌の外膜を通過し、ペリプラズム間隙に到達する際の透過孔と言われているD2ポリン蛋白の減少が指摘されている。しかし、この変化による耐性度の上昇は、MIC 値で精々16μg/ml程度であり、それ以上の高度耐性には、IMP‐1メタロ‐β‐ラクタマーゼの産生が関与している。IMP‐1産生株は、緑膿菌に有効なセフタジジムなどのオキシイミノβ‐ラクタム薬(=第三世代セファロスポリン)のみならずカルバペネム系薬に至るまで広範囲のβ‐ラクタム薬に耐性を獲得する。現時点では、わが国でのIMP‐1 産生菌の割合は1%程度と推定されているが、最近、海外でも類似のメタロ‐β‐ラクタマーゼを産生する株が分離されるようになり、その動向が国際的に警戒されつつある。

クラリスロマイシン(CAM)、15員環系のアジスロマイシン(AZM)など ..



(1 )内因性感染症
癌などの悪性消耗性疾患などの末期には、腸管内などに棲息する菌が、腸管の膜を通過し血液中に侵入することで、しばしば菌血症や敗血症などを続発する。このような事態は、患者の感染防御能力の低下に伴うものであり、防ぐことが困難な場合も多い。
また、高齢者の慢性呼吸器疾患患者では、口腔や気管内の分泌粘液中に緑膿菌が定着している事も多く、肺炎などが重症化した際に増殖し、2次的に敗血症やエンドトキシンショックなどを続発する事がある。さらに、骨の露出するような重症かつ広範囲の褥創から、菌血症などに発展する場合もある。
(2)外因性感染症
緑膿菌は、環境中に広く分布する細菌であるため、輸液用の製剤や点滴回路が汚染された場合、人為的に血中に菌が送り込まれる事態も発生しうる。同時多発的に、複数の患者から緑膿菌が分離される場合には、そのような事態も想定し緊急に原因の解明や対策を講じる必要がある。

【ミニレビュー】フルオロキノロン系抗菌薬 KANSEN JOURNAL


各医療施設において日常的に実施されている同定試験法により、緑膿菌と同定され、かつ、NCCLS の標準法に従い、イミペネム、アミカシン、シプロフロキサシンなどのフルオロキノロン薬の3系統の抗菌薬に対し全て「耐性」と判定された場合(シプロフロキサシンの感受性試験を実施していない場合は、レボフロキサシンなど他のフルオロキノロン系抗菌薬に対する感受性試験結果を代用することができる)。