流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
作曲家三保敬太郎、通称ミホケイは大学の後輩。たまに銀座赤坂で夜出会うと、楽しいジャズピアノを聴かせてくれた。彼は車好きでも人後に落ちず、日本グランプリ出場のためにコブラ427を買いこんだので、私も乗る機会に恵まれたが、その豪快な走りは感激の一言だった。まさに米国の力を誇示した車だった。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
ダッシュボードにコブラの生みの親「Carroll Shelby」のサインが入っている所にご注目を。この車はテンガロンハットをかぶった似顔絵が入ったトレーラーの近くに止まっていたので、サインは間違えなく本物だ。ナンバープレートは「7リッターのスネーク」だって(笑)。
ストリートユースのCobra 427 S/C(Semi Competition)のスペックシート[このカッコのなかはコンペティションモデルのデータを記します]。427cid(6997cc)V8 OHV ツインHolly 4バレルキャブ425ps/6000rpm[485ps/6500rpm]、66.4kg-m/3700rpmエンジン+フォード製4速MTを積み、シャシーの基本となる2本の鋼管は直径3in(76mm)から4in(102mm)に強化され、サスペンションは前後ともウイッシュボーン+コイルスプリングに変更された。サイズはホイールベース90in(2286mm)、全長156in(3962mm)、全幅68in(1727mm)[70.5in(1791mm)]、全高49in(1245mm)、トレッド前/後56in(1422mm)/56in[58in(1473mm)]、車両重量2529lb(1147kg)[2150lb(975kg)]。グッドイヤーBlue Dot 8.15×15タイヤ+7½×15[リアは9½×15]マグネシューム合金ホイールを履く。427 S/Cの生産台数は31台。コイルスプリングモデルはCobra Mark IIIと呼ばれる
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
「コブラ」は、少々異色の経歴を持つクルマだ。元々は、1900年代初頭に誕生した英国最古の自動車メーカーのひとつとされるACカーズが、1953年にベースとなる「ACエース」を開発したところから物語は始まる。
1967年Cobra 427 S/Cのカタログ。1966年の途中からエンジンをGalaxie 428cid(7014cc)シングル フォード製4バレルキャブ355ps/5400rpm、58.1kg-m/3200rpmに換装した。そして1967年3月、世界最速のスポーツカーと言われたCobra 427の生産を終了した。427の生産台数は史料によって異なるが、350~400台程度と推察する。台数に関しては参考値として見ていただきたい。
1964年以降、フォードではGT40、マスタングGT350Rでのレース活動に重点を置くようになり、キャロル・シェルビーも深く関わることになる。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
ある程度の速度が出ていれば、パワステの有無はそれほど気にならなくなるが、低速時にはかなり大変。重ステの経験の浅い方が、車庫入れとか縦列駐車とかは相当苦労するかもしれない。ちなみにブレーキも重い。こちらもパワーアシストなしである。
と、まあこんな感じだが、我慢して少し走ると…、素晴らしい世界が待っている。ドッドッド…という重低音。一点の濁りもない純粋なエンジンサウンド。このサウンドや振動には、何とも言えない快感がある。恐らく、この快感こそが、このクルマの魅力のひとつだろうし、ハンドリング等の操縦性には触れられないが、低い速度域でも、この重低音サウンドの魅力は別格と言わざるを得ない感じだった。
ヒストリックカーならではの各種ディテール。これほど美しいボディを持つクルマを筆者は知らない。こうしたヒストリックカーを今なお新車で買えるのはコブラだけである。しかもクオリティは現代車だけに、幌がないとか停めるところを気にするとか、そういった心配事はあるにせよ、メカニズム的には何ら心配はいらないから気兼ねなく走れるのが最大の魅力である。
シェルビーコブラ427は、289に比べ高額で取引されてきました。2014年をピークに価格上昇してきた相場ですが、一旦落ち着いたものの再び上昇しています。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
■堀口佐知
ガジェット初心者のWebライター兼イラストレーター(自称)。女性向けソーシャルゲームや男性声優関連の記事を多く執筆している。
フロントビュー。ACカーズが製造したオリジナルの「ACコブラ」は総数が1000台に満たなかったという。そのため、現代では程度のよい車両はオークションではなんと数億円の価格で取り引されるほどになっている。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
1970年代に倒産した英国の自動車メーカー・ACカーズが、米国人レーサーのキャロル・シェルビーと合作したのが「ACコブラ」。今回紹介するのは、そのレプリカ車キットとして高名なAKスポーツカーズの「AK427」シリーズの最新製品「Generation III “Supa Lite” Body/Chassis」。ただし、年間に5台しか生産されないという同社工場で組み立てられた「ファクトリービルド」版だ。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
シェルビーコブラ289は、2008年まで価格が上昇していましたが、その後リーマンショックの影響を受けて一旦下落します。しかし、2010年頃から再度上昇基調に転じ、現在も価格は上昇し続けています。
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コブラの愛好家は今でも世界中にいるわけだが、日本へのコブラの輸入販売をいち早く手がけたのが、冒頭で紹介した田邊正剛氏だ。1986年より一貫してコブラに携わってきて、その実績がキャロル・シェルビー氏に認められた同氏は、1997年に極東地域で唯一、「シェルビー」の商標使用権を獲得。以来、日本における正規輸入販売代理店となっていた。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
キャロル・シェルビーがコブラを造ろうと考えたときに、その舞台は陽光の降り注ぐカリフォルニアだった。だから毎年8月カリフォルニアのラグナ・セカ・レースウエイで開催される「モンタレー・ヒストリック・オートモービル・レース」では、この「コブラ」の一族が嫌というほど集まってくる。あまり多くて全部は紹介しきれないがその一部を1枚ずつ紹介する。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
(写真02-7) AC コブラの木型 (2010-06 フェスティバル・オブ・スピード/イギリス)
イギリスのイベントでACのテントの前にあった木型で、これを型に手たたきでボディを造ったのだろう。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
レーシングドライバーのキャロル・シェルビーが世に生み出したコブラ!!イギリスのACカーズという自動車メーカーが販売していた「エース」という小気味のよいスポーツカーをベースに、1963年~70年頃にかけて、4.7リッターエンジンを積む「289コブラ」が600台、7リッターエンジンを積む「427コブラ」が347台を生産。これが「オリジナルコブラ」!!こうして世に送り出されたコブラは、圧倒的な性能を誇りレースでも輝かしい成績を挙げる事になりますが、ガソリン価格の高騰やアメリカ国内の安全基準に満たさなくなるなどの諸事情によりコブラは消滅を余儀なくされます・・・その後ACカーズも倒産。しかし、大きなインパクトを残したコブラの消滅を惜しむ声は大きく、やがて世界中で無数のレプリカ=リプロフダクションが生産されるようになります。また、現在では忠実にオリジナルを再現した「コンティニューション(継続生産)コブラ」も新車で購入できます。コブラについては、本物?レプリカ?などとよく耳にしますが、そもそもオリジナルコブラというのは、合計1000台もないほど希少で、そのうち何台が現存するか定かではありません・・・車両のコンディションを考えても、おそらくオリジナルに出会える事は無いと思われます。ご案内致します車輌はリプロダクションコブラで、フォードV8 5.8Lエンジンを搭載している「アルマックカーズ 427SC」1982年から歴史あるメーカーです。オリジナルは現存すると数億とも言われています!!リプロダクションコブラで十分楽しめるのは間違いありません!!この機会お見逃しなく!!
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
内装はバーガンディ色のカスタムレザーシートを採用し、ビレットのダッシュパネルは特注品である。メーターや各スイッチ類などのレイアウト、4MTのシフトレバーの角度も忠実に再現され、現代車では決して見られないノンエアバッグの細身ウッドステアリングがクラシックカーを物語る。ちなみに、ステアリングはノンパワステである。
この車輌には、オプションとしてオイルクーラーやポリッシュされたサイドマフラー等が追加されている。正式な価格は不明だが、フェラーリの新車が買えてしまうくらいというから、おおよその予測はできるはずである。
しかも、故キャロルシェルビーが存命中にオーダーされた最後の車輌ということで、ボディに直筆のサインが記されている。これだけでも価値が数倍跳ね上がると言われているのである。
シェルビーコブラ427をちょっと動かしてみて、それをひと言で表せば「非日常そのもの」。まず、乗り降りからして大変(笑)。サイドマフラーが邪魔で乗降時に最初の試練がやってくる(走行後のサイドマフラーに触れたら確実に火傷する笑)。で、そもそものコクピットが狭い。これ、大柄なアメリカンが乗れるのだろうかと心配するほど狭い。逆に我々日本人にはタイトな感じでいいかもしれないが。
だが、次なる難儀がやってくる。まぁクラッチの重いこと。ストロークも長いから(やはり足の長いアメリカン向きか)、「これで渋滞ハマったら地獄だな、坂道発信できるかな」というくらいに重い。MTシフトも若干のコツがいる。4段なのがせめてもの救いか。
で、準備が出来たらエンジン始動。さすが新車だけあって、キーを捻るだけでエンジンは簡単にかかる。だが、轟音と振動たるや…、周りが一瞬で騒然となる。鬼のように重い踏力のクラッチを踏んでギアを1速に入れてスタートさせると、今度はハンドルの重さにビックリ。(予想通り?)ステアリングにパワーアシストが付いてない。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
◆オーナーさんより一言◆
コブラは以前、伊豆スカイラインを走っているブルーのストライプの入った車が走っているのを見て、その格好良さに一度は乗ってみたいと思っていました。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
1965年には510馬力の427キュービックインチのV8エンジンを搭載するシェルビーコブラ427にバトンタッチします。シェルビーコブラ427では、新たにコイルバネサスペンションを搭載し、強力なエンジンパワーを伝えるため極太のタイアに変更になりました。それに合わせ、フェンダーも大きく張り出した形状に変更されています。また、
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
APモデルは、長年シェルビーの正規代理店として、コブラの日本への輸入販売を手がけてきた田邊氏が、日本のビギナーにもコブラを楽しんでもらえるようにとの思いから、低価格で、乗りやすく、メンテナンス性に優れることに考慮して最適にアレンジした、田邊代表いわく「これまで培ってきたノウハウの結集」である。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
シェルビーコブラには、キャロルシェルビーがチューニングを行ったフォード製エンジンが搭載されていますが、そのエンジン排気量がモデル名にもなっています。また、このエンジンは徐々にハイパワー化していきました。まず、289キュービックインチエンジン(排気量4.7リッター)を搭載するシェルビーコブラ289から始まり、最終的には500馬力を超えるパワーを発揮する427キュービックインチエンジン(排気量7リッター)を搭載するシェルビーコブラ427へモデルチェンジを行いました。