[PDF] 医薬品安全性情報Vol.19 No.10(2021/05/13)


癒着防止急性期の消炎が不十分な場合には、眼球結膜と眼瞼結膜の癒着(瞼球癒着)が進行し、放置すると強固な器質的癒着となる。癒着を生じかけた場合には、消炎が足りない可能性あり、治療内容を見直す。直す。全身的なステロイドの漸減が早い場合に、しばしば偽膜の増加を認め、癒着の進行を生じやすくなる。生じた癒着に対しては点眼麻酔下に硝子棒を用いて機械的に癒着を剥離し、瞼球癒着を予防または軽減する。具体的指針を以下に示す軽症以上の所見がある場合、眼分泌物もしくは結膜擦過物の培養を行って抗菌点眼薬を1回4回程度点眼する(眼軟膏可)。培養検査により細菌が検出されれば、薬剤感受性を考慮して抗菌点眼薬を選択する。中等症以上ではさらに、0.1%ベタメタゾンもしくは0.1%デキサメタゾン点眼あるいは眼軟膏を、所見の程度により1日6~8回局所投与する。重症では、点眼と眼軟膏をあわせて1日10回程度を目安に0.1%ベタメタゾンもしくは0.1%デキサメタゾンを局所投与して消炎をはかる。急性期の治療でステロイドパルスと眼局所のベタメタゾン投与を開始して、治療が奏功した場合、皮疹が順調に軽快する。しかし全身状態が改善しても、眼表面の炎症が遷延することがある。そのような場合は、皮膚所見だけではなく眼所見も考慮して、ステロイドの減量を行うことが必要である。急性期の角膜上皮欠損が治らないままに遷延すると、「遷延性上皮欠損」と呼ばれる難治な状態となる。「遷延性上皮欠損」は感染症や、角膜穿孔を生じやすく、失明につながる可能性が高い状態である。このような状態のとき、全身状態は改善していることが多く、できれば角膜専門医への紹介が望ましい(角膜専門医は、日本角膜学会HPで公表)。遷延性上皮欠損に対しては、が有効である。また、遷延性上皮欠損に対して羊膜移植を行っている施設もある。慢性期の治療は、眼表面の管理が主体となる。慢性期に生じる後遺症としては、主に、重篤なドライアイ、睫毛乱生、眼表面炎症、眼球癒着、視力障害などがある。


MP)の静注療法,いわゆるステロイドパルス療法(intravenous methylprednisolone:IVMP)が広 ..

<Key Points>◎デキサメタゾンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死亡率低下に寄与する薬剤である。◎デキサメタゾンの適応は、酸素投与を必要とする患者である。◎酸素投与を必要としない症例にデキサメタゾンは投与しない。◎デキサメタゾン以外のステロイドも、COVID-19に有効である可能性がある。◎ステロイドパルスの有効性については、まだ十分な検証ができていない。

消炎ステロイドパルス(ソル・メドロール1000mg/日を3日間点滴)を行い、その後、ステロイドの点滴または内服を継続し、数週間かけて漸減する。眼所見が重篤な場合には、皮膚所見だけでなく眼表面炎症の程度も考慮してステロイド量を漸減する。ただし、患者は全身の皮膚粘膜を広範囲に障害されており、易感染性の状態である。このため感染の合併に最大限の留意が必要である。ステロイド治療に反応しない患者や重篤な感染症などでステロイド薬を使用できない患者では、免疫グロブリン静注療法(IVIG)または血漿交換療法が推奨されている。(副作用マニュアルにリンク)0.1%ベタメタゾンもしくは0.1%デキサメタゾンの点眼あるいは眼軟膏を、眼表面炎症の程度により1日6〜8回投与する。偽膜あるいは上皮欠損を伴う場合は、点眼と眼軟膏をあわせて1日10回程度を目安に投与して消炎をはかる。

[PDF] 副腎皮質ステロイド薬投与と急性膵炎発症の関連性についての研究


・COVID-19は全身性の炎症反応から,広範な肺障害や多臓器不全を起こすことがあり,抗炎症薬としてステロイドが使用される。

・デキサメタゾンが標準治療に比べ死亡率を減少させたことから,酸素投与が必要な「中等症Ⅱ」以上のCOVID-19症例に対する標準治療となっている。

・デキサメタゾン以外にも,メチルプレドニゾロンや,強力なステロイド治療としてステロイドパルス療法でCOVID-19症例に対する効果を検討した報告がある。

・シクレソニドやブデソニドなどの吸入ステロイドによるCOVID-19症例に対する効果を検討した報告があり,シクレソニドは肺炎増悪率が高かったと結論づけられたが,ブデソニドは症状回復までの時間を短縮させた。

※腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群に対し保険適用を有する。免疫チェックポイント阻害薬の副作用管理13サイトカイン放出症候群97 Ⅱ表1 免疫関連CRSの管理早期に抗サイトカイン療法を開始する方針へと変遷している5)。発症機序としてはさまざまなサイトカインの放出が報告されているが,CRSによる有害事象に対してIL‒6が中心的役割を果たすことから6),CAR‒T細胞療法でGrade 2以上のCRSが生じた場合は抗IL‒6受容体抗体薬(トシリズマブ)が第一選択であり,対症療法に反応せず3日以内に改善しないGrade 1に対しても投与を検討する。Grade 3以上ではステロイド全身投与を開始し,トシリズマブで改善しないGrade 2に対しても投与を検討する。 CAR‒T細胞療法後に重篤なCRSを発症した場合,神経症状(immune effector cell‒associated neurotoxicity syndrome:ICANS)として意識障害,錯乱,譫妄,失語,幻覚,振戦,歩行障害,痙攣などをきたしやすいことが知られており5),発熱や循環呼吸動態が正常化した後も神経症状の動きに注意が必要である。CRSやICANSは基本的に発熱を伴って発症するが,二重特異性抗体療法などのように前投薬としてステロイドを用いた場合は,38℃以上の発熱を伴わずにCRSやICANS症状を認める場合があり注意が必要である。◉参考文献1) Neelapu SS, Locke FL, Bartlett NL, et al. Axicabtagene Ciloleucel CAR T‒Cell Therapy in Refrac-CTCAE GradeGrade 1 全身症状の有無は問わない発熱Grade 2 輸液に反応する低血圧;<40%の酸素投与に反応する低酸素症Grade 3 昇圧剤単剤で管理できる低血圧;≧40%の酸素投与を要する低酸素症Grade 4 生命を脅かす;緊急処置を要するtory Large B‒cell Lymphoma. N Engl J Med. 2017;377(26):2531‒44.2) Schuster SJ, Svoboda J, Chong EA, et al. Chimeric Antigen Receptor T Cells in Refractory B‒Cell Lymphomas. N Engl J Med. 2017;377(26):2545‒54.3) Maude SL, Laetsch TW, Buechner J, et al. Tisagenlecleucel in Children and Young Adults with B‒Cell Lymphoblastic Leukemia. N Engl J Med. 2018;378(5):439‒48.4) Lee DW, Gardner R, Porter DL, et al. Current concepts in the diagnosis and management of cyto-kine release syndrome. Blood. 2014;124(2):188‒95.5) Lee DW, Santomasso BD, Locke FL, et al. ASTCT Consensus Grading for Cytokine Release Syn-drome and Neurologic Toxicity Associated with Immune Effector Cells. Biol Blood Marrow 投与の可否 ベースラインに回復するまで投与を中断する。 ベースラインに回復するまで投与を休止する。 ベースラインに回復した場合,投与再開を検討する。 投与を中止する。対処方法 直ちに投与を中断する。 発熱に対する対症療法を行うとともに,感染の有無を確認する。 対症療法にて速やかに解熱しないときは,抗サイトカイン療法(トシリズマブ※)を検討する。 直ちに投与を中断する。 集中治療室管理を検討する。症状に応じた対症療法(酸素吸入,補液など)と抗サイトカイン療法(トシリズマブ※)による適切な処置を行う。 トシリズマブ※および対症療法にて速やかに改善しないときは,ステロイド全身投与(デキサメタゾン10~20 mg/日または同等の治療)を検討する。 直ちに投与を中断し,再開しない。 集中治療室管理とし,症状に応じた対症療法(酸素吸入,人工呼吸器管理,昇圧剤,人工透析など)と抗サイトカイン療法(トシリズマブ※およびステロイド全身投与(デキサメタゾン10~20 mgを6時間ごとに静脈内投与など,効果がない場合はステロイドパルス療法)による適切な処置を行う。

デキサメタゾン(デカドロン®)0.5mg, 36〜54時間, 0.75mg, 30, 0

ベタメタゾン(リンデロン®)0.5mg, 36〜54時間, 0.6mg, 25〜40, 0