◎ 緑膿菌感染症(菌血症・肺炎・尿路感染症・皮膚軟部組織感染症など ..


基礎疾患のない~軽微な細菌性気道感染症ではやはり上記の3菌種が原因菌として多く、β-ラクタマーゼ阻害薬配合剤と並んで前述の第3世代CEP薬を選び、中等症以上ではそれらに相応する注射薬を選択します。市中肺炎例でも上記の3菌種が原因菌として多く、第3世代第2群のCTRXあるいはCTXを選択し、外来治療可能な軽症例では前述の第3世代CEP薬を選択します。院内肺炎や医療・介護関連肺炎では、入院・入所後早期では市中肺炎と同じ選択を行い、それ以外の多くの例では第3世代第3群(いわゆる第4世代)を選ぶこともありますが、ESBL産生菌や緑膿菌の関与が多くなるので選択には注意が必要です。


アモキシシリン/クラブラン酸は、β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系抗菌薬で、本邦で

発熱性好中球減少症では、カルバペネム薬やタゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)と共にセフェピム(CFPM)が選択の上位です。一方、細菌性髄膜炎では、最大の原因菌である肺炎球菌の最小発育阻止濃度(MIC)がペニシリン系薬(PC薬)やCEP薬では上昇傾向にあり、第一選択はカルバペネム系薬とバンコマイシン(VCM)になってきています。胆道系感染症では近年、原因菌として多い大腸菌その他の腸内細菌でESBL産生菌が増加しており、その重症例ではカルバペネム系薬を選択すべき状況になっており、CEP薬の選択順位は下がってきました。腹膜炎では、胆道系感染症の原因菌に加えて嫌気性菌や緑膿菌(特に術後の腹膜炎で)の関与が多くなっています。軽症~中等症では嫌気性菌にも有効なセフメタゾール(CMZ)を選ぶか、CTRX+メトロニダゾール(MNZ)を選びます。耐性菌リスクが高ければCFPMを考慮しますが、胆道系感染症と同じくESBL産生菌増加の状況を考慮しなければなりません。

PC薬の出番は今も多いのですが、経口薬と注射薬とに分けて考えます。経口PC薬では、生体内利用率の高いアモキシシリン(AMPC)とスルタミシリン(SBTPC)およびアモキシシリン/クラブラン酸(AMPC/CVA)の有用性が高く、前2者では連鎖球菌、肺炎球菌、腸球菌、プロテウス・ミラビリス、大腸菌(感受性の認められるもの)などが対象となります。AMPC/CVAではさらに、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、大腸菌、肺炎桿菌なども対象となります。疾患としては、前2者で細菌性扁桃炎、細菌性中耳炎・副鼻腔炎、軽症の肺炎、軽症の歯性感染症などが対象となり、AMPC/CVAではさらに、イヌやネコなどによる咬傷(破傷風の予防にもなる)、軽症の虫垂炎も対象となります。他には、ヘリコバクター・ピロリ感染症における除菌治療でクラリスロマイシン(CAM)およびプロトンポンプ阻害薬との併用でAMPCが用いられます。なお、高用量投与が必要な場合、AMPC/CVAを増量投与すると消化器症状が出やすいので、同量のAMPCと併用するいわゆるオグサワ処方も考えましょう。

抗緑膿菌作用のある, ピペラシリン, piperacillin, PIPC, 非経口, ○, ○, 抗緑膿菌

Βラクタマーゼは、一部の細菌が産生する酵素で、ペニシリン系抗生物質を分解する働きがあり、クラブラン酸カリウムがこの酵素を阻害することで、アモキシシリンの効果が維持されます。

閉経前の膀胱炎では、第一選択のキノロン系薬に続く第二選択が経口CEP薬ですが、閉経後ではキノロン耐性大腸菌の関与が多いので、第一に経口CEP薬を考えます。腎盂腎炎も同様ですが、重症例では高世代CEP薬を選びます。尿路に基礎疾患を持つ複雑性尿路感染症や敗血症を伴う尿路感染症では、高世代CEP薬を選びますが、ESBL産生菌の問題はここでも同様です。皮膚軟部組織感染症では黄色ブドウ球菌や化膿性連鎖球菌が多く、経口薬の投与が可能な軽症例では第一世代のセファレキシン(CEX)やセファクロル(CCL)が選ばれ、注射剤の投与が必要な場合はCEZが選ばれます。

・緑膿菌やアシネトバクターの標的治療にほぼ用途は絞られる。 ・ESBL産生菌でMIC ..

構造的特徴として、β-ラクタム環を持つことがアモキシシリン水和物の抗菌活性において極めて重要な役割を果たしており、この環状構造が細菌の細胞壁合成を効果的に阻害する鍵となっています。

注射用PC薬は薬剤あるいは疾患ごとに考えます。Viridance Streptococciによる感染性心内膜炎に対しては、ベンジルペニシリン(PCG)の最小発育阻止濃度(MIC)を見極めながら、PCGとゲンタマイシン(GM)を併用投与します。PC感受性の肺炎球菌や髄膜炎菌による髄膜炎に対しては、ABPCあるいはPCGの投与が標的治療となり、リステリア・モノサイトゲネスによる場合はABPCの投与がやはり標的治療となります。院内肺炎や医療・介護関連肺炎では、耐性菌リスクがない場合はスルバクタム/アンピシリン(SBT/ABPC)が、リスクがある場合や緑膿菌も想定される場合にはタゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)がエンピリック治療の有力な選択肢になります。TAZ/PIPCは他に、免疫不全例の敗血症や好中球減少性発熱などで緑膿菌も想定される場合に選択肢となります。

(5) その他のグラム陰性桿菌(緑膿菌以外のブドウ糖非発酵菌)

以上みてきたように、PC薬の選択・投与を考えてよい場面は極めて多く、切れ味のよさ、安全性の高さに加え、多くのPC薬が狭域スペクトラムであるため常在細菌叢のかく乱が少なく、菌交代症や耐性菌を誘導しにくい、という利点があるのです。耐性菌が増加している現在、PC薬の出番をもっと多く考えましょう。

CEP薬が第一選択薬あるいは第二選択薬となる場面を疾患別に考えてみましょう。肺炎球菌やインフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスが原因菌として多い中耳炎・副鼻腔炎の経口薬治療では、アモキシシリン(AMPC)もしくはクラブラン酸/アモキシシリン(CVA/AMPC)が第一選択ですが、第3世代CEP薬に属するセフジトレン・ピボキシル(CDTR-PI)とセフカペン・ピボキシル(CFPN-PI)が第二選択となります。重症例では高用量投与を心がけます。


ブドウ糖非発酵菌を対象に抗緑膿菌活性をスペクトルに含む抗菌薬を投与 ..

PC薬耐性の機序は主にβ-ラクタマーゼによる加水分解とペニシリン結合蛋白(PBP)の変異による結合親和性の低下です。β-ラクタマーゼはPC薬と結合する力が強く、そのためPC薬は本来の標的であるPBPへ結合する前にβ-ラクタマーゼと結合してしまい、β-ラクタム環が加水分解されて開裂し、抗菌活性を失うのです。β-ラクタマーゼ産生による耐性化は多くの菌種で認められており、モラクセラ・カタラーリスや各種の腸内細菌、緑膿菌、嫌気性のバクテロイデス・フラジリスではほぼ100%、黄色ブドウ球菌の過半数、インフルエンザ菌でも10%以上を占めます。PBPには複数の種類がありますから、どの種類のPBPが変異するかによっていろいろな薬剤への耐性が複雑に生じます。代表は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)ですが、その分離頻度はいずれも横ばい~やや減少の傾向です。

ミニマム緑膿菌. 高野哲史. 43,445. 2023/2/6 · すべて見る. このスライドと同じ診療科のスライド.

広域スペクトラムの抗菌薬であること、唯一緑膿菌に効果のある経口抗菌薬 であることから、病院内・外来の感染症診療において重要な抗菌薬であり、これ以上の耐性化が進まないように大切に使用すべきです。また、後述しますが、副作用・薬物相互作用が比較的多いこと、抗結核作用があることからも、乱用は避けるべき抗菌薬です(表4)。筆者の考える第1選択となりうる状況を表5にまとめました。以下、グラム陰性桿菌、グラム陽性球菌、嫌気性菌、その他、に対するフルオロキノロン系抗菌薬の効果と適応を説明していきます。

肺炎球菌、腸球菌、グラム陰性菌、緑膿菌はなし。 カプセルが食道に滞留して崩壊 ..

フルオロキノロン系抗菌薬は、前述したようにグラム陰性桿菌用の抗菌薬であり、腸内細菌科細菌や緑膿菌などのグラム陰性桿菌(gram negative rods; GNR)を広くカバーしますが、実際にはあまり第1選択となる状況はありません。ここではその理由と、「使いどき」について説明します。

第109回薬剤師国家試験 問224〜225 感染症/抗菌薬の選択

この過程において、アモキシシリンは細菌の細胞壁にある酵素であるペニシリン結合タンパク質(PBPs)に結合し、その機能を不活化させることが重要となり、これにより細菌の細胞壁合成が妨げられ、細菌の生存が困難になります。

緑膿菌と比較してより高い感受性を示した。Ag NP/テトラサイクリンのMIC濃度下の ..

また、同じフルオロキノロン系抗菌薬でも、GNRに対する感受性率や効果の差があるため(シプロフロキサシン≧レボフロキサシン>モキシフロキサシン)、GNRを対象としている状況 では、原則として最も効果が期待できる シプロフロキサシン を選択します[14,15]。特に緑膿菌への効果は、シプロフロキサシンが最も優れていると考えられています。一方、モキシフロキサシンは効果が期待できないため、緑膿菌を考慮する状況で使用してはいけません[14,16-19]。

によると、除菌率は有意にアモキシシリン治療群で高く(91.7 ..

アモキシシリン水和物の特筆すべき点として、経口投与後の消化管からの吸収性が優れていることが挙げられ、体内で高い血中濃度を維持することが可能となり、効果的な抗菌作用を発揮できます。

「緑膿菌」 生命活動ほとんど停止状態で多くの抗菌薬効かず | NHK

PC薬の多くは投与後の血中濃度の持続が短く、血中半減期が1時間以内のものが多くなっています。しかし、PC薬は他のβ-ラクタム系薬と同様、時間依存性の薬剤ですから、4時間毎とか6時間毎の分割投与によって強い抗菌作用が得られます。また、他のβ-ラクタム系薬と同様、炎症組織への移行は高率ですが、炎症が終息に向かうと移行は低率になります。PC薬の多くは腎排泄型ですから、腎機能が低下している症例では用法・用量の調整が必要であり、腎機能低下の度合いに応じて調節します。

【NHK】肺の感染症などの原因になる細菌「緑膿(りょくのう)菌」は、密集し生命活動がほとんど止まった状態になると多くの抗菌薬が効か…

大腸菌のフルオロキノロン耐性率が高いこと、副作用・薬物相互作用など(後述)の欠点があるため、入院症例においてβラクタム系抗菌薬が使用できる状況であれば、そちらを優先して使用します。そのため、フルオロキノロン系抗菌薬を、入院が必要となる市中感染症や院内感染症の初期治療として選択することはほとんどありません。

一方、大腸菌などの他の細菌に比べ、緑膿菌では抗菌薬が細菌の膜を透過し菌体内に侵入する効率が低いため、抗菌薬が効きにくいと言われて来た。

アモキシシリン水和物は広域スペクトルの抗菌活性を有し、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に効果を示すため、多様な細菌感染症の治療に応用できる可能性があります。

ペニシリンはグラム陽性菌に効く。 グラム陰性菌では球菌にのみ有効である。

PC薬は他のβ-ラクタム系薬と同様、抗菌作用の基本はβ-ラクタム環です。β-ラクタム環は、炭素原子3個と窒素原子1個で環状に閉じた構造を持っていますが、この構造は細胞壁を構成するペプチドグリカンの前駆体のD-アラニン-D-アラニン(D-Ala-D-Ala)の構造とよく似ています。そのため、トランスペプチダーゼがD-Ala-D-Alaと間違えてβ-ラクタム環を取り込んでしまい、その結果、脆弱な細胞壁が作られ、内部の高い浸透圧を支えきれずに溶菌・死滅してしまうのです。PC薬が殺菌的な抗菌薬である理由です。

アモキシシリン水和物(アモリン・サワシリン) – 呼吸器治療薬

青カビから分離された天然抗生物質です。
スペクトラムは狭域ですが、レンサ球菌・髄膜炎菌への強力な活性を持つ「切れ味のよい」抗菌薬です。
半減期が短いため、数時間ごとの点滴もしくは持続点滴で投与します。また、欧米では梅毒治療の第一選択であった筋注用製剤が2021年に日本でも薬事承認され、使用できるようになりました。

菌に強いアモキシシリン(サワシリン®など); ぺニシンアレルギーに ..

使い分けや覚え方に腐心する抗菌薬。今回はその中のを、公立大学法人 横浜市立大学附属病院 血液・リウマチ・感染症内科の副島 裕太郎 先生に解説していただき、一覧にまとめました。

中等症又は重症の場合 アモキシシリン(AMPC)高用量内服 5~7 日間 ..

最初に要点を3つ提示します。1. 覚えるべきフルオロキノロン系抗菌薬は3つだけ。
2. フルオロキノロン系抗菌薬が第1選択となる臨床状況はほとんどない。
3. フルオロキノロン系抗菌薬を使用する場合は「副作用」「薬物相互作用」「抗結核作用」に注意する。