後期型マスタングに追加されたハイパフォーマンスモデルのBOSS302


フォード製エンジンを搭載したコブラ各車の活躍を高く評価したフォード社は、マスタングのチューンアップモデルの開発をキャロル・シェルビーに依頼する。シェルビーはフォード社のバックアップの下、自らが主宰するシェルビー・アメリカン社において高性能マスタングの本格的な開発を始めた。やがて完成した高性能マスタングには新たに「GT350」の名が与えられた。1965年中に完成したGT350は、公道走行用とレース用に特別に高度なチューンが施されたコンペティション用GT350R(Rはレーシングの意)を含めて562台といわれている。


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シェルビーが手がけたGT350は、標準型のマスタング・ファストバックをベースとして、独自のパーツを使い、シェルビー・アメリカンが直接チューンアップを加えたモデルとなっていた。主な特別装備のパーツとしては、フロントとリアのサスペンションのショックアブソーバーをオランダのコニ製アジャスタブル・タイプのヘビーデューティー仕様に換え、その頂部からバルクヘッド中央部分に至る三角形のタワーバー(パフォーマンス・ロッド)を装備。さらに、トランスミッションはボルグワーナー製で軽量化のためにアルミニウム製ケースを持つクロースレシオ(接近したギア比を持つ)4速型としている。シェルビー・アメリカンではセブリング型トランスミッションと呼んでいた。

車名になったマスタングとは、アメリカ原産の野生馬のことで、スペイン人が北米大陸に持ち込んだ小型馬が野生化したものです。
有名な「シートン動物記」の中の一作、「だく足のマスタング」に詳細な生態に描写されています。

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当初は「トリノ」という車名が有力候補とされましたが、フォード社の会長を務めていたヘンリー・フォード2世が当時イタリア人のクリスティーナ・ベットーレ・オースチンと不倫関係にあったこともあり、スキャンダルを避けるためにイタリア風の名前を避け、最終的に「クーガー」(ピューマ)とマスタングのふたつの目が残り、最終的にマスタングが選ばれました。
なお、フォード社はのちにトリノをフォード・ディビジョンの中型乗用車に、クーガーをマーキュリー・デビジョンのラグジュアリーカーに命名しています。

デビュー時のシェルビー・マスタングは、レースのホモロゲモデルとして純粋に速く走ることに特化したスモールブロックモーターのスパルタンなキャラクターだったのに対し、GT500KRはビッグブロックモーターならでの余裕の走りと、リッチなGTカーとしての要素を高めた最高のストリートカーなのである。

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コーナーリング性能では、サスペンションジオメトリーの変更に伴い、スプリングのバネレートの最適化。その上で、フォードの最新技術、MagneRideを採用した。電動パワステについても路面からのフィードバックがしっかりと分かり、さらにクルマ全体とドライバーの一体感がさらに増すように大幅な見直しを図った。

まるで、現世代マスタング最終章を演出するように、2019年のSEMAにもハイパフォーマンス系マスタングがズラリと並んだ。その中心に鎮座するのは当然、シェルビーGT500だ。最新モデルの正式発表は2019年1月。その時点ではエンジン出力は700馬力+とされていたが、2019年6月に発表では760馬力という数字が公になった。

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4thジェネレーション・マスタングには、フォードSVT(スペシャル・ヴィークル・チーム)が手掛けたホットバージョンのSVTコブラが存在します。
GTをベースに302cuin(4,949cc)V8OHVをベースにチューニングを施し、最高出力は240hpに向上。
専用セッティングの足回り、エアロパーツなどが装備され、性能的にも外観的にも標準仕様とは大きく異なるモデルとなりました。

01年には68年に公開されたスティーブ・マックイーン主演の映画「ブリット」のトリビュートモデルとして、映画で使用された68年型マスタングと同じダークグリーンでペイントされたマスタング・ブリットGTが限定販売されています。


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そのため陳腐化が進んでいたFOXマスタングの延命策が急遽必要となり、外装を一新するビッグマイナーチェンジを施すこととなりました。

87年に登場したFOXマスタングの後期型では、当時のフォード車に共通するエアロダイナミズムが採り入れられ、SVOに似た2灯式のヘッドランプが与えられています。
さらにはエンジンラインナップも140cuin(2,294cc)直4SOHC(90HP)と302cuin(4,949cc)V8OHV(225HP)の2本に整理。
それに合わせて全車インジェクション化を果たしました。

ハイパワーなV8エンジンを搭載したマスタングの復活に米国のマッスルカーファンは歓喜し、モデル末期でありながらFOXマスタングは売り上げを伸ばすことに成功しました。

マスタングシェルビーコブラ - ford shelby mustang cobra ストックフォトと画像.

フォード社は80年代後半にFOXマスタングのフルモデルチェンジを計画します。
モデルチェンジに当たってフォード社は、マツダとの共同開発によりカペラをベースにしたFFクーペを次世代マスタングとしてデビューさせることを企図します。

しかし、「マスタング」という車名に強いこだわりを持つ北米フォードの社員から「日米合作車、それもFF車に偉大なマスタングの名前を与えるわけにはいかない!」との激烈な反対運動が社内で巻き起こったため、フォード社上層部はマスタング後継車としての開発を見合わせ、開発中のモデルは「プローブ」として発売することとしました。

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84年、マスタングのスポーツ路線復活を決定づけるハイパフォーマンスモデルが登場します。
マスタングSVO(スペシャル・ヴィークル・オペレーション)と名付けられたこの車は、SCCAやIMSAなどのレースカーを製作するフォード社のモータースポーツ部門が手掛けたスペシャルモデルで、パワーユニットは175hpを発揮する140cuin(2,294cc)直4SOHCターボを搭載。
組み合わされるギアボックスは5MTが標準装備となり、LSDや4輪ディスクブレーキ(マスタング初の装備)、コニー社製ダンパーが標準装備とされるなど、本格的なスポーツモデルとして開発されました。
また、外装はフロントマスクがグリルレスとなり、大型2灯式ヘッドランプを備えるなど、コブラやGTとは異なるヨーロピアンテイスト溢れるルックスにまとめられています。

フォードが史上最強の「マスタング・シェルビーGT500」を発表

82年、FOXマスタングはターボエンジンを搭載したコブラを廃止。
コブラに代わるスポーツモデルとして「GT」が新たに登場しました。
GTの心臓は4バレルキャブレター&エグゾーストシステムを搭載したハイ・アウトプット(H.O)仕様で、最高出力は157hpを発揮。
久しぶりの高性能V8を搭載したマスタングということで登場当時は大いに話題を呼びました。

さらに83年には約10年ぶりにコンバーチブルが復活。
オープンカーならではの爽快感は往時を知る中高年だけでなく、若者の支持も集めることに成功します。

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搭載されるエンジンは140cuin(2,294cc)直4S(88hp) と170cuin(2,786cc)V6OHV(109hp)、302cuin(4,949cc)V8OHV(140hp)などマスタングIIからキャリーオーバーされたものが中心でしたが、それに加えて140cuin直4SOHCターボエンジン(コブラに設定)も新登場。
このターボエンジンは4気筒ながらV8に匹敵する140hpの最高出力と燃費性能を両立させており、新時代のマスタングに相応しいパワーユニットとして人気を集めました。
80年型では6気筒エンジンがV6から新開発の200cuin(3,277cc)直6エンジンに置き換えられました。

マスタングシェルビーコブラ - shelby cobra ford mustang ストックフォトと画像.

FOXマスタングのスタイリングは、アメ車らしい抑揚のあるマスタングIIのものから一転し、ヨーロピアンルックのエアロダイナミズムを追求したシャープなラインが特徴としており、歴代モデルの中で唯一となるスラントグリルを採用しています。
デビュー当初はマスタング伝統のアイコンがことごとく姿を消したことから、ファンの間で賛否を巻き起こしましたが、結果的には斬新なフォルムが受けて発売初年度だけで37万台を販売するヒット作となりました。

ボディバリエーションは発表当初はハッチバックとノッチバックだけでしたが、ほどなくマスタングIIで話題を呼んだTバールーフも追加されています。

グレード構成はベースグレードの「ハッチバック」と「クーペ」を基本に、上級グレードの「ギア」、スポーツグレードの「コブラ」というラインナップとなります。

オートアート 67マスタング シェルビーGT500 1:18 Red ..

商業的にはけっして成功とは言えなかったマスタングIIの跡を継ぐモデルとして79年に誕生したのが3rdジェネレーション・マスタングです。

オイルショック以降続いていたユーザーの小型化・低燃費指向を受けて、マスタングIIに引き続きコンパクトラグジュアリー・コンパクトとしてまとめられましたが、ボディサイズとホイールベースはわずかに拡大しています。
プラットフォームは同時代のフォード製乗用車に多用され、軽量シンプルに設計されたFOXプラットフォームを使用したことから「FOXマスタング」の愛称で呼ばれています。

Ford Mustang Shelby GT500「激レア日本2台限定色」シェルビーコブラ

原点回帰をコンセプトとしたマスタングIIは、デビュー初年こそ38万5,993台を販売しましたが、やはりイメージリーダーとなるハイパフォーマンスモデルの設定がなかったことが販売に響き、2年目となる75年型モデルの生産台数は18万8,575台に半減。
事態を憂慮したフォード経営陣は、カンフル剤としてマスタングのイメージリーダーとするべくスポーツグレードを発表します。
それが75年に追加されたマスタング・コブラIIです。

コブラIIはMach1をベースに、エアロパーツと専用のボディデカールで武装したモデルで、パフォーマンスは302cuin V8OHV搭載車と変わりはありません。
すなわち「カタチだけのコブラ」だったのですが、スポーツモデル冬の時代ということもあり、市場は概ね好意的に受取ったようです。

これに気を良くしたフォード社は、マスタングIIファイナルイヤーとなる78年にキングコブラを発表します。
ボディはより派手さを増したエアロパーツを纏い、カウルフード(ボンネット)に巨大なコブラのイラストが描かれ、専用のメッシュホイールを吐いたキングコブラは一定の人気を得て、マスタングIIの最後を飾りました。

シェルビー社により唯一認可されたシェルビーコブラの復刻車である

搭載されるエンジンは排気ガス規制によりV8エンジンの存続が危機的な状況にあったため、デビュー当初は140cuin(2,294cc)直4(85hp) と169cuin(2,769cc)V6OHVを標準とし、Mach1のみ専用の171cuin(2,802cc)V6OHVが用意されました。
しかし、初代モデル後期のハイパワー路線からの大きな方向転換に戸惑うファンも少なくはなく、デビュー直後からV8モデルを求める声が挙がりました。

こうした市場の声に応えるかたちで、75年に302cuin(4,949cc)V8OHVがオプションとして追加されます。
このエンジンは乗用車用のウィンザーブロックを使用しており、排ガス規制に適合するため最高出力は122hpに抑えられていましたが、カムやシリンダーヘッド、キャブなどを交換すれば簡単にパワーアップできました。
そうしたことからコンパクトな車体を活かし、ドラッグレースでは高度にチューニングされたマスタングIIが活躍しました。

シェルビー率いるシェルビー・アメリカンが手がけたスペシャル・マスタングです。 ..

マスタングIIのスタイリングはイタリアのカロッツェリア(デザインスタジオ)のギア社が担当し、ロングノーズ・ショートデッキ、3分割リアコンビネーションランプなどの伝統的なフォルムを残しつつ、当時流行していたコークボトルラインを取り入れています。

ボディバリエーションは、安全規制の強化からコンバーチブルがカタログから落とされ、ノッチバッククーペとクーペのみとなり、グレードはノッチバックがベースグレードの「クーペ」と上級グレードの「ギア」、ハッチバックがベースグレードの「ハッチバック」とスポーツグレード「Mach1」となります。

【アメ車 シェルビーコブラ】キャロル・シェルビーが認めた唯一の公認コブラレプリカ!

99年、マスタングはマイナーチェンジを実施。
メカニズムに大きな変更はありませんが、外装は一新され、前期型のイメージを踏襲しつつボディフォルムを曲線基調から直線基調へと一新します。
また、このスタイリングの変更に伴いフロントフードに大型のダミースクープを追加。
マッスルカーらしい力強いフォルムとなりました。