鼻水・涙目、咳、微熱など通常のかぜと区別のつかない症状で始まり ..
感染経路としては、土ぼこりを浴びる農作業やガーデニング、水回り関係ではミストや水しぶきが発生しやすい浴室の掃除などが疑われています。とはいえ、MAC菌は台所などいたるところに存在しており、実際にどこで暴露したかはわかりません。患者のタイプに偏りがあることから、むしろ人の側に「かかりやすい体質」があるのではないかとも考えられています。
肺MAC症を含む肺非結核性抗酸菌症の患者は世界的に増加傾向にあり、特に日本、韓国、台湾など東アジアで顕著です。慶應大学が主催した全国調査では、2007年の国内の新たな患者発生率は人口10万人当たり5.7人だったのが、2014年には14.7人と2.6倍に急増(下グラフ)しています。推定数十万人の全患者数からすると多くないとはいえ、年間約2000人が亡くなっています。患者急増の原因としてCT普及に伴う診断技術の向上や、病気の認知度が高まり受診が増えたことなどが挙げられていますが、詳しくはわかっていません。
咳や痰、微熱などの自覚症状が数日で治まらず、1か月以上も長引いたら、呼吸器内科や感染症科のある医療機関を受診しましょう。血痰も早期から出やすい症状の1つです。①胸部X線検査や胸部CT検査の画像に特徴的な影がある、②結核や喘息など、ほかの病気を除外できる、③2回以上の痰の検査で陽性、または1回の気管支鏡(肺カメラ)検査で陽性――をすべて満たせば肺非結核性抗酸菌症と診断され、MAC菌などの菌種も特定されます。
痰の検査で、確定診断に2回以上の陽性が求められるのは、MAC菌が環境中のいたるところにあるため、たまたま検体に菌が混じって検出される恐れがあるからです。痰の採取は自宅でも可能で、どうしてもうまく採取できないときは気管支鏡を使います。
初期症状:軽い風邪のような症状(微熱、軽い咳、倦怠感)から始まり ..
肺MAC症はMAC(Mycobacterium avium complex)という菌が肺に感染して起こる病気です。
このMAC菌は、というグループに属する約200種類の菌の1つで、系統的には結核菌の「いとこ」のような存在です。非結核性抗酸菌は私たちの生活環境中の土壌や水回り(水が使われる場所)に広く生息していて、ことで感染すると推定されています。日本では、非結核性抗酸菌による肺感染症の8~9割を肺MAC症が占めます(そのほかは肺カンサシ症、肺アブセッサス症など)。
感染初期には無症状のことが多いのですが、進行すると、咳、痰、血痰、微熱、疲れやすい、体重減少といった症状が出ます。さらに重症化すると、呼吸困難になって酸素療法(酸素吸入)が必要になることもあります。結核との大きな違いは、、そして(数年~十数年単位)ということです。実際、自覚症状のないまま、検診の胸部Ⅹ線検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査で偶然に見つかることも珍しくありません。
肺MAC症の患者は、特に持病のないに多いのが特徴です。かつては結核の人や、ヘビースモーカーに多い慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、肺に病気を持つ男性が中心でしたが、なぜ傾向が変わったのか、わかっていません。また、免疫力が低下した場合に起こりやすいといわれていましたが、最近は免疫力が正常な人にも増加しています。
治療を始めるかどうかは、病状や年齢、本人の希望などを判断材料に、患者と医師が話し合って決めます。いったん治療を始めると長期に及ぶので、治療の負担と「生活の質」のバランスを考える必要があるためです。症状的には①肺に空洞(組織の一部が崩れて穴があいた状態)がある、②血痰や喀血がある、③病変の範囲が広い――などが治療開始の目安になります。自覚症状がほとんどない人や、75歳以上の高齢者は経過観察でもよいとされています。
治療の基本は、です。通常はクラリスロマイシン(またはアジスロマイシン)、エタンブトール、リファンピシンの3種類を定期的に服用します。飲み忘れたりして服用が不規則になると、菌が耐性化し、治療が非常に難しくなってしまうことがあるため、欠かさず飲み続けることがとても大事です。
副作用には食欲低下、倦怠感、発疹、口内炎、味覚障害、下痢などがあり、症状が強く出た場合にはいったん治療を中断し、薬の変更や、少しずつ用量を増やすといった調節をします。エタンブトールでは、まれに視神経障害が起こり、視力が低下する恐れがあります。薬物治療中は定期的に眼科の診察を受けるようにしましょう。
治療効果が不十分な場合には、やによって別の抗生物質を追加します。昨年承認された吸入薬(一般名アミカシン)は、専用の機器を使って1日1回自宅で吸入するものです。アミカシンは従来、医療機関で点滴投与していましたが、自宅でも使えるようになったのは患者さんにとってメリットといえます。
薬物治療の終了時期は、痰に菌がいなくなってから約1年、あるいは治療開始後1年半~2年が目安とされます。菌が消えない、あるいは画像検査で悪化が認められるときは、さらに年単位で延長されます。
病変が片方の肺に限られ、喀血を繰り返したり、再発する恐れが強いと判断されたケースでは、という選択肢もあります。専門的な技量を要するので、経験豊富な医師に執刀してもらうことが重要です。
のどの痛みと、高熱が2~3日続くことが多いですが、微熱で済むこともあります。
【家庭での看護】
安静・保温が基本です。高熱が続き、体力を消耗させ、胃腸も弱るので、消化のよい食べ物を取らせ、こまめに水分補給をします。
この病気は根治こそ難しいものの、自然に軽快する人や、経過観察だけで済んでいる人も珍しくありません。その一方で、自覚症状がないのに再発したり、重症化することもあるため、定期的な受診は決してやめないでください。
人にうつす心配がないので、日常の行動を制限する必要はありません。家に閉じこもらず毎日を楽しく活発に過ごすことが体力の維持につながり、治療への意欲も継続させます。
再発や重症化を減らすため、菌を繰り返し吸い込まないようにするのが望ましいとはいえ、生活環境中の感染リスクについてはわからないことが多いのも事実です。菌を恐れるあまり、ガーデニングや家庭菜園の楽しみを諦めるのは、人生にとって得策とは限りません。治療開始のタイミングを含め、「生きがい」と「病状」を考慮しつつ、信頼できる医師と相談しながら治療を進めることが重要です。気になるようであれば、土ぼこりの激しい日など、必要に応じてマスクをつけるのもよいでしょう。
完璧な対策はありませんが、浴室は換気扇を回したり、窓を開けたりして、しっかり乾燥させます。掃除の際にはなるべくマスクをつけ、菌が多いとされるシャワーヘッドやお湯の出口、排水口などは定期的に洗浄してぬめりや汚れを取り除き、清潔にすることを検討しましょう。これらは肺MAC症対策に限らず、衛生的に望ましいことです。家族の協力が得られるなら、浴室の掃除を交代制で行ってもいいかもしれません。
微熱や頭痛が出ることがありますが、発疹以外は無症状の事がほとんどです。日光 ..
私の経験上、発症して間もない結核患者さんの場合は、上記の内服治療で後遺症もなく治癒ができますが、もし結核が進行し肺の中に感染が広がり空洞をつくったりしてしまった場合は、治療後も空洞が残り後々の後遺症が残ります。
長引く咳を1年以上放置した結果、原因が結核であり診断したときには大部分の肺が溶けてやられてしまっていたという症例も経験いたしました。
「長引く咳、なんとなくだるい、微熱がある」といった患者さんには、結核も疑い胸部レントゲン検査をおすすめします。何事も早期発見・早期治療が大事です。是非当院へご相談ください。CTでの即日検査も施行いたします。
2007 年、慶應義塾大学医学部卒業。総合病院国保旭中央病院内科医員、慶應大学医学部助手、日本学術振興会特別研究員、永寿総合病院呼吸器内科副部長などを経て、2018 年、米国立衛生研究所に留学。2019 年、日本学術振興会海外特別研究員。2021年4月から現職。日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医、日本内科学会総合内科専門医、日本感染症学会感染症専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医。肺非結核性抗酸菌症の1つ「肺アブセッサス症」に対する未承認薬の有効性、安全性を調べる医師主導治験の責任医師も務める。
平熱や微熱の場合もあります。 発熱から1~2日たって、熱が高いまま、体に ..
【タミフルの予防内服】
例えは家族内にインフルエンザが発生した状況下で、元々肺・心臓の慢性疾患があり、インフルエンザがうつったら持病の悪化で生命が危ぶまれる場合や、高校・大学受験を間近に控えて、どうしてもインフルエンザに罹りたくない生徒さんなどに対して、タミフルを予防的に内服してもらうことがあります。健康保険は使えず、私費で4,800円程掛かり、安易に行うことではありませんが、上記のような人生が懸かったイベントが迫っている状況であれば、ご相談に応じます。
ウイルス感染症のあとに細菌感染症が続発することもあります。しかし、抗生剤でウイルス感染症を治療しても細菌感染症を予防することはできません。むしろ、耐性菌による感染症を引き起こす危険性があります。もし、病気が悪くなったり長引いたりしているなら、主治医に説明をしてもらってください。
イン酸クロルフェニラミン、クラリスロマイシン、イブプロフェン処方され、.
咳や痰が1か月以上続く。微熱があり体もだるい……。そんな症状があったら、肺の病気が疑われます。なかでも近年、患者の増加が目立っているのが肺MAC症です。結核に似た菌による慢性呼吸器感染症で、ゆっくりと進行し、命にかかわることは少ないものの、根治は難しいとされています。どんな人がかかりやすいのか、遺伝子レベルの研究も始まっています。治療の現状や、この病気と長くつきあうためのポイントを紹介します。
抗生物質副作用微熱が続くについて | 医師に聞けるQ&Aサイト
呼吸困難発作を伴わない湿性咳嗽が8週間以上継続し、副鼻腔炎を示唆する自覚症状、診察所見もしくは画像所見を認め、下記に述べる治療が有効であった場合に副鼻腔気管支症候群と診断していきます。
胸部や副鼻腔のレントゲン検査やCT検査が診断の参考になります。
出る症状としては咳、痰、微熱、全身倦怠感、体重減少などがあります。 ..
もう1つ、非常に重要なのは体重を落とさないよう心がけることです。やせ方が激しい人ほど進行が速く、重症化しやすいことがわかっています。可能な範囲でしっかりと食べ、体型を維持します。食事制限は特にありません(ほかの病気は除く)。
また、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンも、接種しておいたほうが望ましいでしょう。
前述のように肺MAC症患者の性別や体型などに偏りがあることから、「なりやすい体質」について遺伝子レベルでの解明を目指す国際的な共同研究が始まっています。慶應大学を中心とした研究グループは肺MAC症患者と健常者のゲノム(遺伝情報)を解析・比較して、ある遺伝子の変異が発症リスクの高さと関連していることを明らかにしました。さらに研究が進めば、発症しやすい人や重症化しやすい人に狙いを絞った、よりきめ細かい治療や予防の方策が見つかることが期待されます。
治療の進歩に注目しつつ、「一病息災」のつもりで心にゆとりを持って人生を楽しみましょう。
ライター 平野 幸治
肺結核の初発症状は咳、痰、微熱であり、かぜ症候群と共通の症状を呈する。胸部X線所見や ..
最も多いのは発疹、胃腸症状です。下痢、嘔吐、腹痛、食欲不振などは多くみられ、まれに膵炎があります。また一過性の肝障害、髄膜炎、脳炎、心筋炎などの重篤な合併症もあります。胸膜炎をおこし、胸痛がみられたりすることもあります。そして問題なのは喘息を悪くしたり(これは多いです)、また喘息を発症させるともいわれております。他にも様々なものがあります。
微熱,体重減少,肝機能異常のため紹介受診した.各種ウイルス ..
細菌性肺炎とは、細菌を原因として起こる肺炎であり、肺胞にまで細菌が到達しているものを指します。細菌が気道を通って侵入することが一般的ですが、まれに血液の循環を介することもあるようです。細菌性肺炎のとしては、発熱、咳、膿性の痰が見られ、さらに胸痛が起こることも。胸痛がある場合は、胸膜へ炎症が広がっていることを示し、さらに呼吸数や脈拍の増加が見られます。軽症で通院が可能な場合は通院治療を、中等度以上の場合は入院し、入院治療が必要です。
主な症状は咳嗽、喀痰、微熱、体重減少、血痰、喀血などで、最近は健 ..
肺炎にはさまざまな種類があるので、原因や症状にも違いがあります。高齢者は肺炎になりやすいため、介護者は肺炎について知っておくと、肺炎を初期症状の段階で見つけることができるかもしれません。
双子で1人(1児)が38度痰が絡む咳あり鼻水あり、もう1人(2児)も微熱 ..
肺炎の兆候として、呼吸数の増加があります。脈拍数には普段から注意がいきますが、呼吸数の増加については注意がいきにくいことは、残念ながらよくあることかもしれません。肺に炎症が起きてくると、発熱します。微熱程度であっても、体内の酸素消費が増えるため、不足する酸素を補うためにどうしても呼吸数が増えるのです。このような流れで呼吸数が増えるため、呼吸数というのは肺炎の兆候として表れやすいことが分かります。普段の呼吸数を知っておくことが大切でしょう。
当院ではクラリス、ミオカマイシンの2剤がありますが、特にクラリスは苦いです。
過敏性肺炎とは、病原体が原因ではない肺炎のことであり、アレルギー性疾患の側面があります。有機物の粉塵や化学物質を繰り返し吸い込んだことにより起こり、肺胞や細気管支の内部や周辺に炎症が起こるものです。アレルギー性物質としては、トリコスポロンと呼ばれるカビが多く、夏に見られやすいのが特徴的。症状は乾いた咳や息切れ、呼吸困難、発熱などであり、治療法としてはアレルギーを起こす環境から遠ざかるのが効果的です。入院期間中は症状が落ち着いていて、退院すると症状が出るということがよくあります。
百日咳菌には、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬が有効。
肺炎の兆候として表れやすいのが、元気がないということです。これは、病気全般にも言えることですが、肺炎のあらゆる症状(発熱や食欲不振など)により、どうしても顔色が悪く、体調が悪く見えるということです。あらゆる症状と附随して起こってくる症状に元気がないというものがあるので、どうしても見逃しやすいですし、介護者は食欲がないのだから元気がないのだろうと判断をしてしまいがちです。体調が良くないのでは?というときは、高齢者の体調についてメモを取るようにし、肺炎に限らず病気の兆候を見のがさなさないようにしましょう。
マクロライド系抗生物質:アジスロマイシンやクラリスロマイシンが第一選択となります。
この菌自体は自然治癒することが多いといわれていますが、咳が非常に長く続き(1ヶ月以上のことも)、また重症の肺炎や様々な合併症を起こすことも多いのです。よってこの菌を考えた適切な抗生剤投与が必要です。抗生剤はマクロライドやテトラサイクリンと呼ばれている系列のものを使います。ただこれらの薬には問題があります。まずマクロライドですが、基本的にとても苦い薬です。当院ではクラリス、ミオカマイシンの2剤がありますが、特にクラリスは苦いです。しかし効果はクラリスの方がよいですので、薬を飲めそうな子はクラリスを第一選択にしています。5歳以上の子供は小さい錠剤がありますのでこちらにしてみるとよいでしょう。クラリスの粉は苦い味を苺味でコーティングしていますので、これを溶かさないように工夫が必要です。ジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトなどで飲ますのは避け、水、牛乳、バニラアイスで飲ませるとよいでしょう。またムコダインという痰をきる薬と混ぜると苦くなります。それでもダメな場合はミオカマイシンを使います。もう一つのテトラサイクリンは当院ではミノマイシンを使っていますが、乳幼児の歯や骨の発育を阻害する副作用があるため6歳以下には重症例を除き使いません(8歳以上から)。そして最も大事なことは最低10日間は内服する必要があります。通常3日?1週間で発熱や咳嗽は改善しますが、このマクロライドやテトラサイクリンは菌を殺すより、押さえ込んでそのうち死ぬという薬なので、中途でやめるとまた菌が復活し、ぶり返すことになります。
マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシンが第一選択です。通常のセフェム系 ..
【症状】
ムンプスウイルス(おたふくかぜウイルス)に感染して2~3週間の潜伏期間の後、耳の真下にある耳下腺などの腫れ・痛みを来す病気です。多くは両側の耳下腺が腫れますが、片側が腫れた後、2~3日してから反対側が腫れたり、片側だけで終わることもあります。人によっては、あごの下にある顎下腺が腫れることもあります。腫れがひどくなると、痛みのため口を大きく開けられなかったり、咀嚼で唾液の分泌を刺激して痛みが生じるため、食事が思うように摂れなくなります。発熱は2人に1人位の割合で見られますが、出ても2~3日で下がります。
マイコプラズマに対する抗生物質(クラリスロマイシン)を使用して治療します。
長引く咳の患者さんをみたら結核も念頭に胸部レントゲン検査を施行します。胸部CT検査で詳しく検査をして、結核に特徴的な影(肺の中にパラパラとした粒状の影)を見つける場合もあります。
結核を疑ったら痰の検査を複数回施行し、痰が出ない患者さんの場合は、胃の中にやわらかいチューブを挿入し、胃液を採取して痰の検査の代わりにすることもできます。
総合病院に紹介し、気管支カメラで直接肺の中から痰を採取して診断することもあります。
TSPOT検査という血液検査は過去に結核にかかったこと(もしくは現在結核にかかっている)を証明できる検査になりますが、免疫をみるという意味では免疫がそもそも弱い患者様にとっては正確性に欠ける場合もあります。やはり菌の直接の証明が大事になります。