・咽頭炎 :溶連菌しかありません。第一選択薬はアモキシシリン(ペニシリン系抗菌剤)
「病院で聞くのを忘れたのですが・・・・。」
と薬局でお父さんやお母さんから溶連菌についての質問を受けるケースがあるかもしれません。
溶連菌感染症の薬物療法は?(薬局)公益社団法人 福岡県薬剤師会
溶連菌感染に伴う発疹(文献1,2)は,菌が産生する発熱毒素(発赤毒素)であるstreptococcal pyrogenic exotoxin(SPE)-AやSPE-Cが関与しています。これらは細菌性スーパー抗原であり,特定のVβ領域を持つT細胞レセプターとMHC(major histocompatibility complex) classⅡ分子を結合することでT細胞を活性化し,炎症性サイトカインを産生させます。A群溶連菌が感染局所で増殖し,産生された毒素が血流により全身に運ばれ,皮膚に発疹を生じさせると認識されています。
通常,発疹は第2病日頃に出現し,次第に淡紅色の紅斑がびまん性紅斑となり,猩紅熱様の経過をとります。一方,最近では典型的な猩紅熱様の発疹は少なく,淡紅色の紅斑性丘疹が一過性に出現するものが多くあります。また,発疹の生成機序として,過去にA群溶連菌の菌体成分に感作されている個体における,菌体成分に対する遅延型皮膚反応の関与も指摘されています。
A群溶連菌感染症に対する抗菌薬療法として,アンピシリンの10日間投与は標準的な治療法(文献3)ですが,経過中に遅発性発疹がみられることが報告(文献4)されています。発疹は治療開始後約10日で出現し,全例でアモキシシリンが投与されていました。さらに,溶連菌による咽頭炎患児にアモキシシリンを投与し,発疹の出現を検討した前向き研究(文献5)では,発疹がみられた症例の約1/4は抗菌薬投与終了後に出現していました。アモキシシリン投与群とセフェム系薬投与群で,発疹の出現率は同様でしたが,アモキシシリン投与群では,より多彩な発疹が観察されました。
(1)ご質問の症例は,上記の遅発性発疹に類する病変と考えられ,発疹に関するアモキシシリンの関与が推察されます。感染症が契機となり,薬剤アレルギーとしての薬疹を発症することが認識されています(文献6)。ほとんどの薬疹は,T細胞が関与する免疫反応です。皮疹はT細胞が薬剤に関して感作されるのに必要とされる7~14日(平均9日)の期間を経て出現しますが,発症までの期間が極端に短い場合や,薬剤誘発性過敏症候群のように発症まで数カ月を要する場合があります。表皮障害の程度は,反応するCD8陽性T細胞数や機能に関連します。アモキシシリンによる薬疹の病態においても,薬剤反応性T細胞の機能が臨床像に反映されるものと理解されています(文献7)。
(2)これまでの報告では,重症の経過をとった症例は見当たらず,抗ヒスタミン薬内服,ステロイド・抗ヒスタミン外用薬の投与で軽快しています。
溶連菌感染症であれば抗菌薬開始後1日~3日(通常1日)で解熱します。ですので抗菌薬内服しても発熱が続く場合は、診断が違うことがありますので、受診していただくことになります。また溶連菌は治療開始後24時間経過すれば、感染性はなくなるので、解熱して全身状態が問題なければ保育園や学校は問題ありません。以前は、溶連菌治療後に2週間ぐらいで尿検査を行っていましたが、最近は行っていません。
Q5 溶連菌性咽頭炎、急性⿐副⿐腔炎などの急性気道感染症や急性中⽿炎に対する抗菌薬治療に
「A群溶血性連鎖球菌」は、上気道炎、咽頭炎、皮膚や皮下組織などの感染症の原因菌としてよくみられるバイ菌の一つで、いろいろな症状を引き起こすことで知られています。
近年,特に保育所等では原則,昼の与薬をしない場合が多いようです。間違いが起こらないようにという事情もある程度は理解できますが,特に溶連菌感染症など,比較的長い期間の服薬が必要な場合の薬剤の選択に苦慮します。原則,ペニシリン系抗菌薬が第一選択薬と思われますが,アンピシリン(AMPC)は1日3~4回,10日間が基本です。AMPCとクラブラン酸カリウムの配合剤であるクラバモックス®は2分割ですが,下痢などの副作用が多く,また投与日数も明確ではありません。
(1)「AMPC 50mg/kg体重2分割」とする文献をみたことがありますが,この場合の投与量,投与日数はどのようになりますか。
(2)クラバモックス®を4~5日間投与という方法もあるようですが,いかがでしょうか。
(3)第3世代経口セフェム系抗菌薬の使用は考慮してもよいでしょうか。その場合,1日投与量を増量して2分割することは可能ですか(第1・第2世代経口セフェム系抗菌薬,その他の系統の抗菌薬の場合も同様に)。
(4)その他,推奨できる薬剤があれば,投与方法とともにお教え下さい。
A群β溶連菌感染症に対するアモキシシリン7日間投与と10 ..
ところで抗菌薬というとよくセットで浮かぶ(?)のが抗菌薬が効かない(又は効きにくい)の問題です。幸いなことに、溶連菌に対するペニシリン系抗菌薬は高い効果が得られることが多く、耐性菌の報告もまれです。ペニシリン系抗菌薬(又は類似した化学構造をもつセフェム系抗菌薬)になどがある場合は、マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシン など)を使用する場合もありますが、こちらはペニシリン系抗菌薬に比べると耐性菌の出現頻度が高く化が進んでいるという現状もあり、注意が必要とされています。
薬局では「アモキシシリン10日間処方」の処方箋を受け付けると「溶連菌だな」と処方内容からも判断しやすい感染症かと思います。
溶連菌感染症に対するアモキシシリン1日1回治療法のリアルタイムPCR ..
溶連菌感染症の特徴、薬局で質問を受けやすい内容をまとめました。
溶連菌はとても抗生剤がよく効くので、飲み始めたら24時間のうちにはすっかり熱も下がり、喉の痛みも楽になります。
[PDF] 溶連菌の感染症が増加中!抗菌薬は適切な使用方法を守って
一つ目の注意点として、溶連菌は実は健康な人の十数%は常在菌として保菌しているため、検査が陽性であっても今回の熱の原因ではないことがあります。抗生剤を3回飲んでもまだ明らかに熱が続く場合は、違う病気の可能性が高いですので必ず再診しましょう。
アモキシシリン… こないだ溶連菌咽頭炎になった時に処方されて
急性上気道炎(かぜ)の原因はウイルス(アデノ、インフルエンザ、ライノ、コロナなど)であり、細菌ではないため抗生剤は効果がありません。不要な抗生剤の内服は、効果がないところか、体内に薬剤耐性菌を誘導してしまう恐れがあります。薬剤耐性菌を保菌していると本当に抗菌薬が必要な時、例えば手術や菌血症などの重症細菌感染症にかかった時に、抗菌薬が効かなくて治療に難渋します。世界的に多剤耐性菌が出現し、効果のある抗菌薬の種類は減っている一方で、新規の抗菌薬の開発は限界にきているともされています。いまある抗菌薬を適切に使用して、耐性菌を作らない取り組みがクリニックなどの日常診療でも必要です。実際、小児科の外来では、抗生剤を使う場面は限られています。薬剤耐性菌からお子様を守り、無用な薬剤耐性菌を作らないためにクリニックでは、抗菌薬は、本当に感染症が疑われるときのみに限定して処方するようにしています。
当クリニックは無症状の児への溶連菌検査は行っておりません。 ..
A群溶連菌による咽頭・扁桃炎の内服治療
第1選択 アモキシシリン 30-50mg/kg/日 分2-3 最大用量1000mg/日 10日間
・アモキシシリン/クラブラン酸 1回250mg1日3回+アモキシシリン1回250mg1日3回
溶連菌感染症は溶血性連鎖球菌という細菌によって起こる細菌感染症です。上気道や咽頭に感染することが多く、喉の風邪、急性咽頭炎を引き起こす主な細菌です。その他にも皮膚や皮下組織などに感染を起こします。
・ホスホマイシン1回1000mg 1日3回 (ESBL産生菌を考慮する場合)
溶連菌感染症に高い効果をあらわす抗生物質(抗菌薬)であるアモキシシリンを使用する場合、小児であれば一般的には体重1kgあたりアモキシシリン水和物として「30〜50mg/kg」を1日の服用量として使用します。仮に、体重20kgの人が溶連菌感染症にかかった場合はアモキシシリン水和物として600〜1000mgを1日数回に分けて服用することになります。
抗生剤(抗菌剤)の適正使用 (後編) | みうら小児科クリニック
使用する抗菌薬については、基本的にペニシリン系抗菌薬が第1選択です。これは、基本的に溶連菌がペニシリンに耐性がないことから、できるだけスペクトラムの狭いペニシリンを使った方が、薬剤耐性菌の点からもよいと考えます。また溶連菌の合併症であるリウマチ熱の予防効果が証明されているのは、ペニシリン系抗菌薬のみである点があります。第3世代セフェム系抗生剤で代用する研究報告もありますが、第3世代のセフェム系は腸管からの吸収が悪い点やピボキシル基のあるセフェム系抗生物質(セフカペンピボキシル→フロモックス、セフジトレンピボキシル→メイアクト、セフテラムピボキシル→トミロン)は低カルニチン血症による低血糖を引き起こすリスクがあります。以上のことから、私は溶連菌に対してはペニシリン系を第1選択としています。ペニシリン系抗生剤にアレルギーがある場合の第2選択として、セファロスポリン系抗生剤の5日間投与もしくはアジスロマイシンの3日間投与で治療を行います。
ペニシリンアレルギーがある場合にはクリンダマイシンを使用するが、即時型反応でなければセファレキシンを検討してもよい。
アモキシシリン製剤の剤形には散剤(粉薬)の他、カプセル剤や錠剤がありますが溶連菌感染症は子供に多い病気ということで散剤が使われることが多いとも言えます。
急性鼻副鼻腔炎の抗菌薬治療において、アモキシシリン水和物及びクラブラン酸 ..
そこで先ほどの「体重20kgの溶連菌患者に対するアモキシシリン量」を実際の散剤の製剤量で考えてみます。
[PDF] アモキシシリン水和物 小児感染症に対する最大投与量の変更
A群溶血性レンサ球菌は、上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状 を引き起こす。
・連鎖球菌属(α-及び β-溶連菌株のみ)、肺炎球菌、ブドウ球菌属及びインフル.
二つ目の注意点として、中途半端にしか薬を飲まないと、まれにもう一度騒ぎ出してリウマチ熱や溶連菌後糸球体腎炎と言って心臓や腎臓に悪さをしたり後遺症を残すことがあります。(とても専門的な話としては、抗生剤は腎炎の発症を減らすという厳密なデータはないのですが、一般的には上記のように説明されることが多いです。)。当院のように発症から2週間後に尿検査をして比較的頻度の高い腎炎のチェックをする病院が一般的ですが、自覚症状のない腎炎は自然治癒することから検査が不要とする病院もあります。
[PDF] 浜松市内科医会 AAS 通報 20 抗菌薬投与中の小児の発疹
また、最近は、喉の赤みが溶連菌に特徴的な赤みには見えず、ウイルス性の咽頭炎(いわゆる「のどかぜ」)の時とかわらないように見え、「念の為に」検査をしてみたところ、陽性なので溶連菌感染とわかった、という患者さんも多いように思います。
抗菌薬は薬疹の頻度が高い薬剤です。重症薬疹を回避するため、家族への指導 ..
今年度の冬は異常に増えている「溶連菌感染症」。子供の病気とばかり思われがちですが、実は大人も溶連菌感染症になることは十分あります。そして、大人の場合、さまざまな合併症を引き起こすこともあるのです。
外来経口抗菌薬:自然治癒するウイルス性咽頭炎・気管支炎・下痢症に抗菌薬は ..
溶連菌感染症が怖いのは、重症化しやすく治りにくい合併症をおこすことです。熱も下がって治ったと思っている頃に、血尿が出たり、顔や脚がむくんだりすることがあります。溶連菌感染症後の急性糸球体腎炎です。これを発症してしまうと、入院安静が必要で、きわめてまれではありますが、命にかかわる場合もあります。
また、「リウマチ熱」という合併症もあり、これは心臓に後遺症を残すことがあります。