(糖質コルチコイド;中程度の抗炎症作用) デキサメタゾン, デキサメサゾン


第1 世代の各5-HT3受容体拮抗薬の制吐効果に差はないとされているが,わが国で行われた高度リスクの抗がん薬投与に対する,第2 世代の5-HT3受容体拮抗薬パロノセトロンとデキサメタゾンの併用群とグラニセトロンとデキサメタゾンの併用群の制吐効果を検討した第III相ランダム化比較試験において,パロノセトロンとデキサメタゾンの併用群が有意に遅発性嘔吐を抑制したことが示されている(参照)。また,高度リスクの抗がん薬投与に対するパロノセトロン,デキサメタゾン,アプレピタント併用群と,グラニセトロン,デキサメタゾン,アプレピタント併用群の制吐効果の比較を行った第III相ランダム化比較試験(TRIPLE 試験)が報告され,主要評価項目ではないがパロノセトロン群が遅発期において有意に悪心・嘔吐を抑制したことが示された


発音dèksəméθʌ̀soun、カナデクサメサソウン、分節dex・a・meth・a・sone

基本的に5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン6.6~9.9 mg を静注(8~12 mg を経口)の2 剤併用とするが,一部の抗がん薬(カルボプラチン,イホスファミド,イリノテカン,メトトレキサート等)を投与する場合にはアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与の併用が推奨され,その際にはデキサメタゾンを減量(静注: 3.3~4.95 mg,経口: 4~6 mg)する(→参照)。また,わが国では400 例を超えるオキサリプラチン投与患者に対する第III相ランダム化比較試験が行われ,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下において,アプレピタント/ホスアプレピタント群がコントロール群より全治療期間,特に遅発期の悪心・嘔吐の制御に優れることが示された

アプレピタントとデキサメタゾンの併用もしくはアプレピタント単独投与の遅発性嘔吐に対する有用性もNCCN ガイドライン2017 や,レビューで示されている。個々の臨床試験では,中等度リスクに対するアプレピタントを含む3 剤の効果をみたランダム化比較試験がある。現在は高度リスクに分類されるAC 療法が約半数含まれている試験であるが,AC 療法以外の中等度リスクにおいても一次評価項目である「5 日間嘔吐なし」の割合が有意にアプレピタント群で高かった。ただし,これはサブグループ解析である点に注意が必要である。わが国でも,二重盲検ではないことに留意する必要があるが,オキサリプラチンベースの抗がん薬を用いる大腸がん症例において,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの併用療法にアプレピタント/ホスアプレピタントの上乗せ効果を,全期間および遅発期における嘔吐制御割合で証明した第III相ランダム化比較試験(SENRI 試験)の報告がある。さらに,AC 療法を除外した中等度リスク対して第1 世代5-HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン,1~3 日目),デキサメタゾン(1日目のみ)の2 剤併用群に対してホスアプレピタント併用の効果を見たランダム化比較試験がある。7 割以上の患者においてカルボプラチン,オキサリプラチンを含むレジメンが使用されていた。ここでは対照群のオンダンセトロン(1~3 日目),デキサメタゾン(1日目のみ)の2 剤併用群に比べて,主要評価項目である完全嘔吐制御割合が3剤併用群で有意に高かった(77.1% vs. 66.9%)。

DEX, デキサメタゾン, デカドロン錠0.5mg、レナデックス錠4mg

英語
(1) Patients receiving highly emetogenic chemotherapy (cisplatin>=50mg/m2 or combination of anthracycline and cyclophosphamide) only day1
(2) Patients receiving highly emetogenic chemotherapy for malignant disease
(3) Patients >=20 years old who can be obtained informed consent.
(4) G0 of nausea and vomiting by CTCAE ver4.0 within 24 houres before entry
(5) Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)performance status(PS) of 0 or 1
(6) Adequate organ function defined as;(each of following values are examined within 2 weeks prior to entry)
ALT 100
AST 100
T-Bil 2.0
Cr 1.5
(7) Patient with more than three months of life expectancy.
(8) All subjects must be provided written informed consent prior to entry (including QOL questionnaire).

注1: 英語表記は本邦未承認。
注 2: 「 ※」は海外のガイドラインには記載がないが,わが国では使用可能な薬剤。
注3: 下線付きの薬剤は30 年以上前に開発された薬剤(アムルビシン,ネダプラチン,ピラルビシンを除く)。 (3)注射抗がん薬における催吐性リスクに応じた制吐薬の選択 がん薬物療法における基本的な制吐薬として,NK1受容体拮抗薬,5-HT3受容体拮抗薬,デキサメタゾンの3 剤があり,これらを催吐性リスクによって使い分けていく(→,,制吐療法アルゴリズム,制吐薬治療のダイアグラム)。最近のQI 調査においては,催吐性リスクに応じた適切な制吐療法をどの程度行っているか,それを確実に行う体制が整備されているかが評価項目となっており,施設全体の取り組みであるという認識が必要である。 5-HT3受容体拮抗薬は,第1 世代,第2 世代と多くの種類があるが, 最大限の制吐効果を得るために最新の高価な薬剤を使っても有効性の優劣が明確でない場合もある。抗がん薬の催吐性リスクだけでなく, どの化学療法レジメンで, どのような制吐レジメンを用いるかで, 第一世代と第二世代の使い分けが示されており(→), 有効性が同等であればより安価な方を選択し適切に制吐療法を行っていくことが推奨される。 がん患者では,抗がん薬以外にも支持療法や併存症に対する治療薬を併用している場合が多いため,薬物相互作用によるそれぞれの薬効の変化にも留意した選択・用量調節が必要である(→)。 (4)経口抗がん薬における催吐性リスク評価と制吐療法 経口抗がん薬における催吐性リスクについては,MASCC/ESMO ガイドライン2016 を参考に作成委員会内でコンセンサスを確認し, それ以外の薬剤については承認申請時のデータ,代表的な臨床試験の報告をもって に示すリスク分類とした。わが国で使用頻度の高いテガフール・ギメラシル・オテラシル(S-1)では,悪心の発現頻度は3~54%,Grade 3/4 は0.2~7.1%,嘔吐の発現頻度は14~28%,Grade 3/4 は1.2~4.3%と報告されており,軽度リスクに分類した。トリフルリジン・チピラシル(TAS-102)は悪心と嘔吐の発現頻度がそれぞれ48%,28%であることから中等度リスクに,アレクチニブは悪心の発現頻度が13%であり軽度リスクに分類した(→)。レンバチニブでは悪心の発現頻度が41%, Grade 3 が2.3%であり, 中等度リスクに分類した。 注1: 英語表記は本邦未承認。
注 2: 「 ※」は海外のガイドラインには記載がないが,わが国では使用可能な薬剤。 (5)制吐療法の評価 現在, 抗がん薬の副作用である悪心・嘔吐の評価方法としては, CTCAE (Common Terminology Criteria for Adverse Event) v4.0-JCOG が用いられているが,これは制吐療法の評価方法ではない(→)。従来のわが国の制吐療法における臨床試験では,悪心・嘔吐が「ない」,「我慢できる」から,「ほとんど食べられない」といったチェック項目を患者に提示して個々の治療効果を示してもらうなどの方法がとられていた。最近の臨床試験では,がん薬物療法施行後0~120 時間の完全制御割合,0~24 時間の完全制御割合(急性),24~120 時間の完全制御割合(遅発性)などが評価項目として用いられている()。しかし,医療者は過小評価の傾向が指摘されており,悪心・嘔吐の予測がどの程度できているかの評価も重要である。また, 患者自身による主観評価にあたる Patient-Reported Outcome (PRO) の重要性も認識されてきており, がん臨床試験における患者の自己評価に基づき, 有害事象評価の正確性と高い精度のグレーディングを追及したツールとしてPRO-CTCAEが公開されてきており(), 日常診療として客観的評価とどのようにして関連づけて評価していくか等に関する検討が必要になるであろう。 1) 佐伯俊昭.制吐薬適正使用ガイドラインに関するアンケート調査.癌と化療.2015; 42: 305-11. 2) 渡部智貴,半田智子,加藤裕久.日本国内の臨床試験に基づく抗がん剤の催吐性リスク分類.癌と化療.2015; 42: 335-41. 3) 有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版(CTCAE v4.0 - JCOG)
(accessed January 18, 2018) 4) Tamura K, Aiba K, Saeki T, et al. Testing the effectiveness of antiemetic guidelines: results of a prospective registry by the CINV Study Group of Japan. Int J Clin Oncol. 2015; 20: 855-65. 5) PRO-CTCAE™ 日本語版.
(accessed January 18, 2018) 6) Yana T, Negoro S, Takada M, et al. PhaseⅡ study of amrubicin in previously untreated patients with extensive-disease small cell lung cancer: West Japan Thoracic Oncology Group(WJTOG)study. Invest New Drugs. 2007; 25: 253-8. 7) Kimura K, Yamada K, Uzuka Y, et al. PhaseⅠ study of N4-behenoyl-1-1-beta-d-arabinofuranosylcytosine and its phaseⅡ study in adult acute leukemia. Current chemotherapy and immunotherapy. Proceedings. 12th International Congress of Chemotherapy, pp 1306-8, 1982. 8) 太田和夫.ネダプラチン(Nedaplatin)について.癌と化療.1996; 23: 79-87. 9) 塚越茂.Pirarubicin(THP-Adriamycin)について.癌と化療.1998; 15: 2819-27. 10) Fujiyama S, Shibata J, Maeda S, et al. Phase I clinical study of a novel lipophilic platinum complex(SM-11355)in patients with hepatocellular carcinoma refractory to cisplatin/lipiodol. Br J Cancer. 2003; 89: 1614-9. 11) 斉藤達雄.Nitrosourea 系新規抗癌剤ACNU{1-(4-Amino-2-methyl-5-pyrimidanyl)methyl-2-(2-chloroethyl)-3-nitrosourea hydrochloride}のPhaseⅠおよびPhaseⅡStudy.癌と化療.1977; 4: 105-18. 12) 正岡徹,他.造血器腫瘍性疾患におけるMCNU の臨床第Ⅱ 相試験.Chemotherapy.1985; 33: 271-8. 13) 木村禧代二.共同研究によるVidesine sulfate の固形腫瘍に対するPhaseⅡStudy.癌と化療.1983; 10: 2036-42. 14) 犬山征夫.ペプレオマイシン.癌と化療.1980; 7: 1498-504. 15) Schlumberger M, Tahara M, Wirth LJ, et al. Lenvatinib versus placebo in radioiode-refractory thyroid cancer. N Engl J Med. 2015 ; 372: 621-30. 16) Seto T, Kiura K, Nishio M, et al. CH5424802(RO5424802)for patients with LK-rearranged advanced non-small-cell lung cancer(AF-001JP study): a single-arm, open-label, phase 1-2 study. Lancet Oncol. 2013; 14: 590-8. 17) Vidula N, Rugo HS. Cycline-dependent linase 4/6 inhibitors for the treatment of breast cancer: a review of preclinical and clinical data. Clin Breast Cancer. 2016; 16: 8-17. 18) Goss G, Tsai CM, Shepherd FA, et al. Osimertinb for pretreated EGFR Thr790Met-positive advanced non-small-cell lung cancer (AURA2): a multicenter, open-label, single-arm, phase 2 study. Lancet Oncol. 2016 ; 17 : 1643-52. 19) Kantarjian HM, Shah NP, Cortes JE, et al. Dasatinib in newly diagnosed chronic-phase chronic myeloid leukemia: 2-year follow-up from a randomized phase 3 trial (DASISION). Blood. 2012; 119: 1123-29 20) Flaherty KT, Robert C, Hersy P, et al. Improved survival with MEK inhibitor in BRAF-mutated melanoma. N Engl J Med. 2012 ; 367: 107-14. 21) Dummer R, Duvic M, Scarisbrick J, et al. Final results of multicenter phase II Study of the purine nucleoside phosphorylase (PNP) inhibitor forodesine in patients with advanced cutaneous t-cell lymphomas (CTCL) (Mydosis fungoides and Sé zary syndrome). Ann of Oncol . 2014 ; 1807-12.

DTX, ドセタキセル水和物, ドセタキセル点滴静注20mg/1mL「EE」、80mg/4mL「EE」

私たちはこれまでに、道管分化をマスター因子としてNACドメイン転写因子をコードするVND6、およびVND7を同定した(Kubo et al., 2005, Genes Dev.; Yamaguchi et al., 2008, Plant J)。
そこで本研究では、これらマスター因子にヘルペルウイルスVP16の転写活性化ドメイン、およびラットのグルココルチコイドレセプタードメインを融合させることで、デキサメタゾン(DEX)依存的に活性が誘導されるコンストラクトを構築し、形質転換体を作出した。まず、シロイヌナズナに導入した形質転換体では、DEX処理することにより、植物体全体が白色化し死んでしまった。植物体を観察したところ、ほとんどの細胞が二次細胞壁を持つ道管細胞へと分化転換していた(図)。また、道管分化に関与する酵素や転写因子の多くがDEX処理により発現が誘導されており、二次細胞壁に多く含まれる多糖であるキシラン蓄積量も増加していた。さらに、このコンストラクトをシロイヌナズナやタバコの培養細胞やポプラに導入したところ、それぞれDEX依存的に分化転換した道管細胞が観察された。特に、タバコBY-2細胞において90%以上の細胞が分化転換するラインを確立することに成功した。

これらの結果は、今回構築したコンストラクトが、道管細胞分化の分子機構を解析するうえで非常に有効であることを強く示している。

医療用医薬品 : D・E・X (D・E・X点眼液0.02%「ニットー」 他)